≪舌の汚れも口臭予防の重要なポイント?≫

 よく舌は健康のバロメーターと言われ、健康な状態では舌はきれいなピンク色ですが、体調をくずしたり、熱を出したりしたときなど舌の上に白い苔がたくさん沈着しているのを見たことのある方もいるでしょう。また二日酔いの朝のどが乾いて舌が白くなってしまう経験をされた方もいると思います。

  こんなときは十分な唾液が分泌されていないため舌苔がたまり、口臭も出やすくなっています。舌苔は、細菌、剥がれ落ちた細胞、はぐきからにじみ出た白血球などの血液成分から作られています。上皮細胞などのたんぱく質が細菌によって分解されると、口臭の原因である揮発性硫化物が作られ悪臭を発生させてしまうのです。

  日本では舌苔を病的な口臭として分類する傾向があるためか先生によっては舌苔がついてしまうような病気の治療を重視し、舌クリーナーで取り除くことを推奨しない場合もあるようです。北米では舌苔を生理的な口臭の原因として考え積極的に除去するように指導するようです。舌苔はとくによくたまるのが舌の奥の方です。無頓着でいると何年もたまり、ぶ厚くなっている(写真1)こともあるので口臭対策や感染症の予防として私は舌苔の除去を薦めています。

  しかし清掃方法や舌に対する知識、さらにクリーナーの形や材質には十分注意する必要があります。大手の薬局やスーパーでは、さまざまな舌クリーナーが販売されていますが、使用方法を誤ると、味を感じる味蕾(みらい)の機能を害したり、舌をかえって汚れやすくしてしまうことがあります。

  またネズミの実験で、舌に発ガン物質をぬったのみのものより、発ガン物質とひっかき刺激の両方を与えた方が癌が早くできやすいという報告もあり自己流でハブラシでゴシゴシこすったり、刺激のつよい舌クリーナーで出血してしまうようなことは避けていただきたいと思います。舌クリーナーはそれぞれ特徴があり、推奨できるものもありますが、要介護者へ第三者が行う場合を想定し舌への過度な刺激をさけるために、私が設計したクリーナーがありますので、後にご紹介したいと思います。


写真1


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