スーパーやコンビニなどでもたくさんの種類の口臭関連の商品(写真2)が並び日本においてもこれらのマーケットは年々大きく成長しています。しかしながらこれらの商品のなかには、口臭についてきちんと科学されたものが少ないのが現状です。
  口臭をただ単にエチケットや美容的な側面からのみ考えて一般大衆の心配を必要以上にあおりたてるようなCMも見うけられます。また臭いをより強い匂いで覆い隠す(マスキング効果)のみで口臭に対応するような商品に頼りすぎますと、せっかく口臭を切り口としてお口の健康やそれに伴う体の病気について考える大切な機会を逸してしまうことにもなりかねません。
  口腔は飲食物を取り込む唯一の入り口です。(お中に第二の口=それがPEG)また多くの微生物(バクテリア、ウイルス、真菌)の浸入口でもあります。そこから排出する呼気の問題である口臭は、昔から人が人と対するときから問題になっていた筈です。

  現在のような科学が進んだ時代でも解決できていないのでしょうか?しかし最近の研究によれば、歯周病が原因で口臭を惹き起こすような口腔には、胃炎や胃潰瘍の原因とされているピロリ菌の存在を示す陽性反応があることがわかったり、インスリンの効きが悪いII型糖尿病の患者の歯周ポケットの細菌数を減少させるとそれと連動して糖尿病の状態が良くなることが発表されました。

  口臭の問題は単に歯科医療だけにとどまらないのです。このような研究がさらに進めば、人の健康状態を知るための最も早い時期の観察対象として口臭(呼気)検査が挙げられるようになるでしょう。患者さんにとって何の苦痛もない呼気(口臭)検査で全身の状態をいち早く推測する。そのような時代もそう遠くはないと思います。

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第3回「高齢者の口腔ケア」