●元気な人はお口も健康!
日本人の平均寿命は、男78.07歳 女84.93歳(平成13年10月、厚生労働省、簡易生命表)生活水準の向上とともに世界一の長寿国となっています。そんな中、年齢を感じさせないほどの爽やかな笑顔、趣味やスポーツまでも若々しくこなす高齢者を見かけます。その方々の口元に注目してみましょう。そう!人生を楽しむためには食事や会話、口の機能は欠かせません。自分の歯でも入れ歯でもしっかり噛みしめて、口元を引き締め、健康的により若々しく演出するようなものでなくてはだめなのです。そのことが、生活の質を高め、健康と深くかかわっているのです。さあ、口腔ケア、始めましょう!人生80年の時代をいきいき生きるために!
●楽しく長生きするためのお口のケアは?
高齢化社会を健やかに楽しく生きるためには80歳で20本の歯を残そうという『8020運動』が厚生労働省と日本歯科医師会から提唱されて、すでに15年以上がたちました。厚生労働省では6年ごとに全国規模で日本人の歯の状態を把握するために歯科疾患実態調査を行っています。(図1)平成17年の同調査によれば、80歳で残っている歯は平均約10本で、理想には程遠い状態です。50歳を過ぎる頃からは、まるで老化現象のように歯周病や虫歯のために大切な歯を失っています。
平均寿命と健康寿命の違いは生活の質(QOL)の差と言われています。口や歯の問題は高齢者から、食事や会話の楽しみを奪い、QOLを著しく低下させるのです。それに、歯周病原因菌は口の病気を引き起こすだけでなく、心臓病、糖尿病、肺炎など、全身の病気と深くかかわっていることが最近の研究によってわかってきました。東京医科歯科大学の血管が詰まり、最悪の場合切断が必要になることもある原因不明の難病、バージャー病の血管から、歯周病菌が発見され大変な話題になりました。バージャー病は東南アジアで多く見られ、日本にもまだ1万人ほどの方がこの病気で苦しんでいます。しかし欧米などの歯科先進国ではほとんど見られない病気です。
ブランド物や高級車、それに超高層ビルなど。日本の経済は素晴らしく発展しました。しかし人がその人らしく最後までQOLを落とさずに寿命をまっとうするためにの医療や介護システムの問題は山積しています。口腔ケアもその一つです。
●今、日本の歯は?
生活水準が上がり医療も発展し、日本人の健康に対する意識は目覚ましく向上しました。20世紀前半では『人生わずか50年』と言われていました。今『人生80年時代』を迎えてQOLが問われるようになりました。
しかし、日本人の歯の寿命は短く50歳を越える頃から急速に衰えていしまいます。人の永久歯は6歳ごろから生え始め、親知らずを除いて上下28本です。平成17年の調査では80歳で20本以上自分の歯が残っている人の割合は20パーセント程度、よく噛める歯が20本以上残っていれば、食事や会話を楽しみ生きがいのある生活ができるといわれています。
しかし、現実には多くのお年寄りが歯を失い、不便を感じ入れ歯などが必要になっています。