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不良肉芽
胃ろうの周りに粘膜が赤く盛り上った状態です。
症状
●黄色っぽい粘液が出る
●少し出血することがある
●痛みは通常伴わない

原因
●ろう孔周囲が不潔な状態で放置されている
ろう孔周囲に炎症が生じている
●カテーテルがこすれる
●カテーテルがきつく固定されている
●カテーテルが劣化している



対処法
肉芽が小さく痛みや出血が無い場合は、特別な処置の必要はありません。栄養剤の注入にも影響しません。シャワーや入浴も可能です。
本人やご家庭で出来る処置
●体を起こしたときにカテーテルが皮膚に当たったりこすれたりしていないか観察します。
●カテーテルの固定や向きを工夫して、なるべく皮膚がこすれないようにします。
●カテーテル周囲の清潔に努めます。
医師や看護師が行う処置
●不良肉芽が大きくなり、粘液や出血などが多くなった場合は、硝酸銀液で焼いたり、メスやはさみで外科的に切除する方法があります。
●カテーテルがきつく固定されている場合は、ボタン型はワンサイズ長いものと交換し、チューブ型はストッパーを少し緩めます。
●カテーテルが劣化してる場合は、新しいカテーテルに交換します。


皮膚のただれ(発赤・びらん)
発赤は胃ろうの周囲の皮膚が赤くただれる状態で、びらんは発赤のより悪化した状態です。
症状
●ヒリヒリした痛み

原因
●消化液の漏れ
●不必要な消毒による皮膚への刺激
●カビなどの病原菌の感染


対処法
本人やご家庭で出来る処置
●赤くただれている部分を水道水で洗い流し、清潔な乾いたタオルなどでやさしく水気を拭取ります。消毒は不要です。
医師や看護師が行う処置
●皮膚保護パウダーを用いることもあります。
●カビ菌などが繁殖して皮膚炎を起こしている場合は、清潔管理に加え、その菌に適した抗菌剤を使用します。
  漏れ
発赤やびらんを防ぐには、漏れへの対処が重要です。
 

原因
●ろう孔開大
●胃が圧迫されて胃内圧が高くなっている
●全身状態の低下で胃の働きが低下している
●投与速度が速すぎる
●逆流防止弁や接続口の不具合

対処法
本人やご家庭で出来る処置
●投与前には、姿勢や投与速度、おなかの張り具合をチェックします。胃内に前回の栄養剤が残っている場合は、少し時間をおいてから投与します。
●ガスで張っている場合もすぐに投与せず、カテーテルのふたを開けて胃内の圧を下げます(減圧といいます)。
医師や看護師が行う処置
●全身状態の低下やカテーテルの不具合がないか、確認します。
●胃内圧が高い場合は、胃瘻から空腸瘻に変更することもあります。空腸瘻への変更の方法は、胃瘻を介したものと新たに空腸に空腸瘻を造る場合があります。
●栄養剤の固形化を考慮することもあります。


潰瘍
びらんよりも深く皮膚がえぐれます。
症状
●痛み

原因
●圧迫による刺激
以下のような状態が続くと血流が悪くなり炎症を起こします。
●ろう孔周囲に炎症が生じている
●外部ストッパーと体表の間にすきまが無い
●外部ストッパーが常に同じ位置で固定されている
●チューブの重みで一定方向に圧力がかかる



対処法
カテーテルは、胃壁にも体表にも食い込まず、上下に軽く動くような余裕が必要です。軽く上に持ち上げたときに体表から1~1.5cm程度のすきまがある状態にします。
本人やご家庭で出来る処置
●チューブ型の場合は、外部ストッパーの位置をずらして圧迫をゆるめます。
●チューブがなるべく体表からの垂直状態を保てるよう、スポンジではさんだりロールガーゼで支えたりして工夫しましょう。
医師や看護師が行う処置
●ボタン型の場合は長さが決まっているので、サイズの長いものに変更します。
●潰瘍のできた部分に皮膚保護剤を使うこともあります。