No.535 胃瘻部からのMRSA
From かあか |
訪問看護師のかあかです。
胃瘻からのMRSAが消えなくて悩んでいます。
訪問時に交換したり、石鹸、お茶での洗浄、抗生剤を使用せずがんばっていますが、取れません。利用者の家族の方は在宅複合施設という、ショートスティ・ディサービスを希望されていますが、MRSAが出ていると、それができません。感染兆候がなくてもでてきます。
何か良い方法はないでしょうか?
痰と胃瘻からMRSAのでている利用者の方がいらっしゃり、バンコマイシンを使われたそうですが、痰は消えたましたが、胃瘻は消えなかったそうです。
栄養剤を、甘くないものに変えようか・・・。など、考えてみるのですが・・・。
MRSAが出ている方に関しては、チューブの種類は特に関係あるんのでしょうか?
何かアドバイスありましたら教えてください。
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Re : 胃瘻部からのMRSA
From 陸の孤島の遭難者 |
まず、創部感染が問題となるのは、かあかさんが悩んでおられるMRSAの場合がほとんどです。おそらくは、pull法で胃瘻作成時に咽頭部のMRSAを創部に播種させたものと考えられます。大切なことは、胃瘻作成時に播種させないことです。
その方法は、咽頭MRSAが認められた場合には、咽頭MRSAを除菌してからpull法で行なうか、introducer法で行なうか、オーバーチューブの付いた胃瘻作成キットを使うかです。
さて、話を元に戻し、MRSA創部感染を起こしてしまった場合には、当然難治性です。瘻孔周囲炎だけでなく、液漏れやひどい場合にはバンパー埋没症候群に至ることもあります。
治療として、はっきりとしたコンセンサスを得られている方法はありませんが、瘻孔周囲炎程度の軽症なら、バクトロバン軟膏をチューブ周囲に塗りチューブを奥に押し込み、創部全体にバクトロバンを塗布することで改善したとの報告があり、私たちも試しましたが、非常に有効でした。問題は保険適応にならないことです・・・。しかし、瘻孔周囲炎にとどまらず、周囲脂肪組織に波及し蜂窩織炎状態になっておられる場合は、やはり、バンコマイシンの全身投与は必要になると考えられます。さらに言えば、本人の全身状態(栄養状態)が悪化していたり、糖尿病等の免疫低下を来たす合併症があれば、さらに治療に抵抗します。
局所の状態と全身状態を確認した上で治療方針を考慮することが必要と思われます。
少しは参考になりましたでしょうか?
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Re : 胃瘻部からのMRSA
From ラップ大学一年生 |
感染兆候がないのですか??それなら保菌ですよね。MRSA保菌者の入所を断ることはできないと厚生省が発表していたはずです。PEGの細菌検査はなぜしたのでしょうか?胃瘻増設したら皮膚のバリア機能が無いわけですから、常在菌であるMRSAが検出されるのはあたりまえのような気がします。発熱、発赤など感染兆候があれば、バンコマイシンの全身投与、バクトロバンの局所投与も考える必要がありますが、感染兆候が無いのであれば、どちらも耐性菌を作る可能性があり投与する必要はないと思います。
瘻孔周囲が潰瘍形成されているようでしたら、きれいに洗浄してから、フィルムドレッシング、デュオアクティブなどをはり、潰瘍を早く治すのが大事ですよ。
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Re : 胃瘻部からのMRSA
From 太郎 |
皆さんこんにちは 太朗@老健経営者モードです.
ボクの老健はMRSAの方を受け入れています.でもそこに至る過程は本当に大変でした.老健を開設した当時,近隣の慢性期療養型施設は病院を含めMRSA陽性者の受け入れを拒否していました.当時はすでにMRSAが保菌としても存在することが認識されており,慢性期療養型施設で保菌者の受け入れをしないという事実に憤りを感じていました.そのため,せめて自分の経営する施設だけはその様なことがないよう,MRSA保菌者の受け入れを表明しました.しかし地方の一施設が単独で受け入れを開始することは,内外の大変な反発の対象となりました.職員は得体の知れない菌に恐れおののくので,近隣大学の細菌学教室の院内感染に対する資料をもとに勉強会(説得会)を繰り返しました.近隣の医療従事者からも「あそこは汚い菌を受け入れる施設」と陰口をたたかれました.その後,誤解を払拭するため説明を続け,理解されたかどうかは知りませんが,とりあえず現在に至っています.
でも実際は,まだまだ「かあか」さんの環境が多く目立ち,厚生省や細菌学教授,はたまた医者が何と言おうと,そこで働く現場のものにとって,イヤなものはやはりイヤなので,今の状態はおいそれとは変わらないでしょう.だからボクは胃瘻に限らず,はっきりとした感染徴候や排膿があるときを除いて,培養検査はしません.訪問看護婦さんから時々鼻腔培養をして下さいといわれるときもありますが,忘れたふりをしてあえてしてません.患者さんが大変な思いをしますし,行き先が無くなってしまうと困りますから・・・.今後,介護施設が増え市場原理が働くと状況が変わってくるのではないでしょうか?
つい熱くなってしまいました.ゴミレスでした.
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Re : 胃瘻部からのMRSA
From かあか |
皆様、本当にありがとうございます。
バクトロバン軟膏について、主治医に相談しようと思います。
ありがとうございます。
大変感謝しています。今のところ、周囲に炎症症状はなく、全身状態もPEGのおかげで、GOODです。今回、施設のかたから、少しは延長していただいたのですが、やはり予定どうりの入所は拒否でした。太郎さんのような方のいらっしゃる所があれば本当に家族の方は幸せですね。今回、療養型入院を検討したり、いろんなところに当たってもらっていますが、現状、個室を確保してくれている施設はあっても2部屋くらいで、MRSAの方への部屋は満室です。家族の少しの休息も、できなくなりました。
MRSAを消滅させるように、陸の孤島の遭難者さん、ラップ大学1年生さん、太郎さんのアドバイスを即実行します!!
本当にありがとうございました。
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Re : 胃瘻部からのMRSA
From ラップ大学一年生 |
太郎先生の行動に感激しました。
忘れた振りして培養検査をしないという行為まねさせて頂きます。添書とかにも感染症の記載欄がなくなればいいんですけどね。この人は、○○感染症だから・・・というのは差別問題ですよね。誰にでも感染症は起こりうるものという認識が必要で、標準予防策をどこの病院、施設も徹底するのが重要ですからね。太郎先生のような熱くなれる方が日本にはもっと必要ですね。
>かあかさん
MRSAは常在菌ですから消滅はしないですよ。何回も検査すれば必ず陽性になります。炎症兆候が無いようですのでバクトロバンは控えた方がいいかと思います。緑茶については私もいろいろ実際試しましたし文献も探しましたが、特にMRSAに効果があるようなことはありませんでした。炎症がある場合に抗生物質と併用すれば効果があるかも?という程度が今の私の知る限りです。これもしっかりしたエビデンスはありませんが。
ってことで、現状はなかなか困難ですね。太郎先生のように保菌者のことを理解してくれている施設がきっとあるのでがんばっていろいろあたってみて下さい。力になれずすみませんでした。
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Re : 胃瘻部からのMRSA
From かあか |
とんでもないです。
色々とアドバイス、大変感謝いたします!!
ラップ大学1年生さま 太郎先生さま 陸の孤島の遭難者さまありがとうございました。本当に嬉しかったです。皆さんのような方がいらっしゃる施設をがんばって探します。
でもそうですよね。常在菌ですものね。
皆様のように、色々検討しやってみます・・・といっても受け入れてくれる施設を探すことになるのでしょうが・・・。
悲しい現実ですね・・・。
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