No.393 PEJからの固形化栄養剤 From もっち |
こんばんわ、訪問看護師のもっちです。
以前ご相談した、脳梗塞後遺症で噴門部胃癌の方の件です。以前のワンステップボタンの蓋を明けっぱなしにしてJ-Tubeを留置→J-Tube抜去したがワンステップボタンの蓋が緩んで開いてしまう状態から、ネオフィードジェジュナルカテーテル24Frに交換して約1カ月になりました。噴門部は内視鏡が通らないほど狭窄しているにもかかわらず、まだ経口摂取ができています(不思議?!)。時々食欲不振となりますが、どうしてもPEJからの経管栄養を拒否しています。理由は①長時間管がつながっているのがいや(じっとしてなければならないと思っており、緊張するらしい)②気持ち悪くなる(と思いこんでいる)。家族や訪問看護師が手を変え品を変えて説得を試みますが、拒否が強いので、少々お手上げ状態です。水分のように短時間で終わるものや、ボーラスで注入することに拒否はないのですが、どうしても経管栄養剤をイリゲーターで滴下するのがダメなのです。以前、栄養剤をためておく機能をもたない腸への固形化栄養剤直接注入についてはあまり好ましくないとの話がありましたが、どなたかご経験のあるかたがいらっしゃいましたら、どのくらいの1回量をどのくらいの時間をかけて注入すれば可能なのかお教え下さい。脳梗塞後遺症で少々痴呆も入っているようで、とってもガンコな方なので、何かよい方法をご存知の方はコメント下さい。お願いします。
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Re: PEJからの固形化栄養剤 From 太郎
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もっちさん あけましておめでとうございます. 開業医の太朗です.
PEJからの固形化経腸栄養剤の注入の経験がないため,想像の話と割り切ってお読みいただければ幸いです.
PEJつまり胃瘻を経由して空腸にチューブを挿管する栄養投与経路においては,胃を通らずに栄養剤を注入するため,嘔吐や栄養剤リークを減少させる効果があります.一方欠点としては,栄養剤がアッという間に腸を通過して,下痢を起こすことがあることです.そのため24時間持続投与とベストマッチになるのですが,このポンプは管理が意外に煩雑です.ましてや本症例のように寝たきりでもない症例には全く不向きといえます.これはあくまで私見なのですが,PEJこそ固形化経腸栄養剤のメリットが生きてくるのではないかと考えています.固形物は液体のように早い時間で腸を通過しません.またポンプを使わなくても,定期的に少量ずつ注入すれば良いのではと思うのです.
この症例に関しては,一日で必要とされる栄養量と水分量を決めて固形化し,起きている時間内になるべく何回か分散してボーラス投与を行えば,問題はかなりの部分で解決するのではないでしょうか? 少なくとも,この方法ならば「長時間管がつながっている」状態からは解放されます.参考になればいいのですが・・・.
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Re: PEJからの固形化栄養剤 From もっち
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太朗先生、昨年は大変お世話になりました。本年もよろしくお願いいたします。
早速のアドバイスありがとうございます。ご本人、ご家族と話し合い、一度固形化経腸栄養剤のボーラス投与を試してみようと思っています。現在ラコール使用中(経管投与がイヤなので経口摂取しています)ですが、PEJからの投与はツインライン等の消化体栄養のほうが良いのか、固形化するなら半消化態でもあまり差はないのか、悩んでいます。まずは試しにトロミアップ等の粘度増強剤でラコール50mlをご本人の自覚症状を見ながらボーラス投与してみようかと計画中ですが、PEJの場合固形化には寒天がよいのか粘度増強剤で良いのかも悩むところです。
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Re: PEJからの固形化栄養剤 From もっち
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もう1つ質問です。PEJから固形化栄養剤を注入するにあたっての目安として、食物は胃からどのくらいの量がどのくらいのスピードで腸に送り出されるのかご存知の方がいたら教えてください。ネットで検索してみましたが、日本人の正常な胃排出量・胃排出時間が検索できませんでした。
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Re: PEJからの固形化栄養剤 From もっち
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皆さんこんにちは、もっちです。
胃排出時間で検索をかけたところ、群大放射線科の胃排出時間検査の方法が載っているページに突き当たり、「流動食(クリニミール300ml)の平均排出は臥位で60分ほどである。」とありました。これから計算すると、PEJにボーラス投与する場合5ml/分=50ml/10分くらいの速度なら、大丈夫なのでしょうか?固形化しているので、もっとゆっくりのほうが良いのでしょうか?同じページに、固形食(卵焼きとパン)の平均排出時間は90分とありましたが、PEJから注入するのは半消化態栄養(ラコール)なので流動食と考えてもよいのでしょうか?先生方のご意見をお聞きしたいのですが…
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Re: PEJからの固形化栄養剤 From 太郎
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もっちさん今日は 太朗です.
「流動物300mlの排泄時間は1時間」という報告を興味深く読ましていただきました.(どうやって調べたんだろう?) ラコールもクリニミールもも形態が同じなので10分おきに50mlの注入ならば,代用できるように思います.でも10分おきに注入するのって大変そう・・・.
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Re: PEJからの固形化栄養剤 From もっち
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太朗先生、もっちです。
群大放射線科の胃排出時間検査の方法が載っているページによると以下のような検査方法だそうです。
<流動食胃排出時間>
流動食の排泄はおもに胃底部、胃体部が関係しているとされる.平均排出は臥位で60分ほどである.
胃排泄の遅延する疾患は、糖尿病、硬皮症、甲状腺機能低下症、脳腫瘍、迷走神経切断後などである.
使用核種・薬品:Tc-99m DTPA
商品名:ウルトラテクネカウ 185MBq
テクネDTPAキット 1回分
クリミニール(高カロリー食)を持参してもらい、核種とともに飲用
前処置:朝食待ち クリミニールを水300mlにとき、核種とともに飲用
撮影方法および検査時間
飲用後、30秒後ごとに30分間ダイナミック撮影 約40分
尚、固形食胃排出時間の測定には、患者にパンと卵を持参してもらい、核種とともに「卵焼き」で摂取 だそうです。
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Re: PEJからの固形化栄養剤 From 太郎
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↑ もっちさん御教示ありがとうございました!!
確かに放射線科の先生の発表ですのでこういう事になりますよね.老人保健施設や療養型病床の病院ではチト無理な検査でした.残念.
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Re: PEJからの固形化栄養剤、やってみました
From もっち
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訪問看護師のもっちです。PEJからの固形化栄養剤Tryしてみました。
まず、ラコール100mlをトロミアップでムース状に増粘、50mlカテーテルチップシリンジで、まず50mlを7~8分かけてボーラス投与。嘔気・腹部膨満感等の自覚症状なし。40分後に再度ムース状のラコールを50ml、同じく7~8分かけてボーラス投与。終了後、腹部膨満感軽度あり。初回だったので、今回はこれで終了しました。
その後、下痢をしたという連絡もなく、ご本人もご家族もこの方法はいいね~と乗り気でした。固形化に寒天を使うか、増粘剤を使うか思案中です。寒天は食物繊維なので便通に良く(時々便秘をする方です)コストも安いが、作るのに手間がかかる。でもトロミアップ等の増粘剤はその場で手軽にトロミがつくので使いやすいが、コストが高い。太朗先生の経腸栄養剤固形化計画を印刷して、寒天での固形化に挑戦してもらって、どちらにするか決めてもらおうと思っています。次回は、もう少し量を多めにボーラス投与に挑戦してみます。以上ご報告まで。
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Re: PEJからの固形化栄養剤 From moemoe
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● 素朴な疑問
噴門部癌であるならば,PEGからあえて腸瘻にする必要がないようにおもうのですが.私は,噴門部癌でPEG栄養の患者さんを20例ほど経験していますが,特に問題はありませんでした.
● 胃瘻ならば
胃瘻ならば栄養剤をボーラスで注入しても,ある程度の量(おそらく300mlくらいが限界か?)ならば大丈夫です.一度試されては如何でしょうか.
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Re: PEJからの固形化栄養剤 From もっち
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moemoe先生こんにちは、訪問看護師のもっちです。
この件に関しては、以前もカキコしたのですが、資料を集めて何度も在宅主治医と造設医に掛け合っています。しかし、結果としてPEJなのです。それでも、最初の造設時(ワンステップボタン24Frの蓋を明けっぱなしにして細い8.5FrのJ-Tubeを留置していたため、体動時に胃液がPEGから逆流してしまう)からネオフィードジェジュナルカテーテル24Frに交換していただき、ご本人ご家族の負担は減りました。在宅主治医はPEG・PEJに関しては造設医にお任せですし、造設医はなぜかPEJにこだわっています。moemoe先生の豊富な経験から、噴門部胃癌へのPEG栄養に関するエビデンスの資料があれば、お教え下さい。次回チューブ交換までに在宅主治医を説得したいと思います。今後、癌が進行し内部バンパー付近が癌細胞に覆われてくることも予測されますので、易出血性を考えるとチューブ交換も慎重にせざるを得ないと思いますが、やはり交換時損傷の少ないバルーン型を選択すべきでしょうか。造設医もそれを大変心配し、今回のチューブ交換時(昨年末)も、上記理由から「交換できない可能性もある」と話していました。
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