松本市で第5回長野県胃ろう研究会開催される
「長野県胃ろう研究会」は胃ろう全般に関わる問題を対象にすることとしては平成16年4月1日に発足しましたが、今年7月9日に第5回の研究会を開催することができました。当日は看護師、栄養士、医師等の一般参加者120名と製品展示をしていただいた企業の方々約30名の計150名にご参加いただきました(写真1)。
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(写真1) |
PDNの活動と足並みをそろえ、企業の公平な情報提供の場を目指す
長野県胃ろう研究会の活動の一つとしてこれまでPDNの存在、活動を伝えることにありました。長野県胃ろう研究会の基本的な姿勢として全国展開するPDNの活動に足並みをそろえ、この会がPDNの長野県支部のような役割を果たしていきたいことを強調してまいりました。これは、長野県内の関係者に偏りがない全国レベルの質の高い知識や技術を提供していくために最も効率的な方法と考えているからです。今回の研究会でもPDNセミナーのテキストをこの研究会に参加された方100名に無料で配布させていただきました。
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早期創部感染と固形化栄養が話題の中心に
この日の最初のプログラムは胃ろうケアと栄養に関するデイスカッションを代表世話人である前島信也先生の司会で会場にお集りいただいた全員の方を交えて始まりました。まず話題提供1.「早期創部感染症対策について」と題して、堀内が咽頭部のMRASA感染がプル法でのPEGにおける早期創部感染の主な原因であることと咽頭部の口腔ケア、MRSA除菌により有意に創部感染が抑制されることの研究成果(Am J Gastroenterol 2006;101:274-7)を発表しました。会場からはMRSAが除菌できない患者さんの場合やプル法に変わる新しい造設法であるdirect法(セルジンガー法)についての質問がありました。会場の参加者のほとんどの方はまだこの新しい造設方法を御存じないため、佐久総合病院胃腸科友利先生から説明していただきました。また、ゲンタシン軟膏が起因菌に関係なく胃ろう部の創部感染に有用であるのはなぜかなどと質問されました。術後早期のプル法による創部感染を防止するためにはMRSA除菌を含めた口腔ケアあるいは感染防止キットやオーバーチューブを使用して造設する方法や咽頭部に直接関わらない造設法としてdirect法の選択が有用であることがまとめとなりました。
次に昭和伊南総合病院栄養士の座光寺知恵子先生が話題提供2.「固形化栄養の経験と栄養剤の管理について」と題して発表されました。最近の多種多様な栄養剤の開発により在庫管理に難渋している栄養室の現状や固形化、半固形化栄養の利点、欠点など具体的な問題が提議されましたので、終始活発な討議がなされ、最近の固形化栄養に関する問題への関心の高さが感じられました。施設によっては食事に関連する介護時間の短縮のため半固形化が採用されているという現場の声には驚きました。
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みんな口から食べることを望んでいる
続いて特別講演1として「PEGの早期実施と経口摂取施行へのアプローチ」と題して 昭和伊南総合病院言語聴覚士の坂本寅雄先生にお話していただきました。もう一度食べることを究極の目標に早期の嚥下評価およびPEGの早期実施が経口摂取施行に向けて重要であることが強調されました。会場からはすべてのPEGがそのような姿勢で作るPEGであって欲しいという強い願いの声とともに大きな賛同を得ましたが、同時に会場の多くの方が悲しいPEGに日々遭遇している現状を強く感じました。
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発表のみならず、製品展示説明会も大盛況
昼食の時間を利用して中会議室では協賛を頂いた9社の企業の代表の方から製品の説明をしていただきました(写真2)。各社展示コーナーの前では大勢の参加者が質問をしたり、試用品をもらったりと一度に9社の企業の方から情報を得られるという貴重な機会を参加者の方に提供できたことは有意義であったと思われました。今後も出来るだけ多くの企業の方に参加していただき、公平で自由な情報提供の場作りを目指したいと思います。
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(写真2) |
PDN代表理事鈴木 裕先生登場
最後に我が国におけるPEGの第一人者である東京慈恵会医科大学外科鈴木 裕先生から特別講演2「今後のPEGを考える」と題するお話をお聞きしました。PEGの現在抱える問題や今後のあり方や対処方法について豊富な経験と巧みな話術でわかりやすく説明していただきました。常に会場参加者への質問攻撃もあり、昼食後の睡魔の襲う時間ではありましたが、全く無縁の1時間でした。第5回の研究会の特別講演にふさわしいすばらしい講演でありましたので、鈴木先生にはこの場を借りて今一度深謝申し上げます。
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第6回研究会の日程決定、より大勢の方の参加を目指す
第6回研究会は12月10日日曜日午前10時から今回と同じく松本市総合社会福祉センター4階で「PEGを作って困ったケース」をテーマに開催する予定です。これまで同様に研究会開催の詳細を記したポスターを作成し10月上旬には長野県内配布およびPDNのホームページに掲載していただく予定です。長野県胃ろう研究会の活動を通じて、県内全体のPEGに関する知識や技術の底上げを目的に全県的なネットワークを作るとともにPDNを通じて県外の組織の方々とも横のつながりを持ちたいと思いますのでよろしくお願い申し上げます。
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