HOME > レポート > 2002.07.08
レポート(2002.07.08)
第2回NST研究会

 6月22日、ホテルイースト21東京(東京都江東区・東陽町)にて、第2回NST研究会が開催された(共催:日本静脈経腸栄養学会/大塚製薬株式会社・株式会社大塚製薬工場)。NSTというのは栄養サポートチームのこと。診療科や職種の垣根を越え、個々の患者の栄養状態を評価した上で必要な栄養量を把握し栄養管理法を決定していくプロセスを、医師だけでなく看護師・薬剤師・栄養士・リハビリ療法士など様々な職種が関わってチームで取り組もうというものである。
プログラムは以下の通り。

開会の挨拶                      JSPEN理事長(高知医科大学副学長) 小越章平先生
 
1. NSTプロジェクトの活動実績・現状報告・今後の展開
NSTプロジェクト実行委員会キャプテン(尾鷲総合病院外科・手術室部長)東口高志先生
2. 学会認定資格制度の状況報告
学会認定資格検討委員会委員長(桑名市民病院院長) 入山圭二先生
3.NSTにおける節食嚥下リハビリテーションの重要性について
藤田保健衛生大学医学部リハビリテーション医学講座教授 才藤栄一先生
4. エリアからNST稼動状況発表
1)電子カルテ化に対応したNSTの提言                箕面市立病院 飯島正平先生
2)NSTによるクリニカルパスの機能強化                済生会熊本病院 野上哲史先生
3)褥瘡管理を取りこんだNST                     JA府中総合病院 大谷 順先生
 
閉会の挨拶                   JSPEN理事(近畿大学医学部第2外科教授)大柳治正先生
エリア別ブロック会議
特別講演
意見交換会

 日本静脈経腸栄養学会(JSPEN)がNST専門職の認定とNSTの普及を目的としNSTプロジェクトを立ち上げたのが2001年2月。欧米に比べわが国では立ち遅れているNSTを、二つの病院で立ち上げてこられた実績のある尾鷲総合病院外科・手術室部長の東口高志先生がキャプテンとなり、地域ごとにブロックを組織している。現在全国の175施設が参加しており、内45施設においてNSTが稼動しているという(2002年6月22日現在)。

 東口先生からはNSTプロジェクトの概要・活動実績・現状報告・今後の展開が報告された。
近年、各医療施設には褥瘡予防、院内感染予防、医療事故予防などの対策チームが組織されている。その大きな目的は、医療の質の向上(=患者への医療サービスの改善)、リスクマネジメント対策(=安全な医療の場の確保)、経済効果(=無駄を省くことによる医療費の節約)などであるが、これらすべては正しい栄養管理がなされてこそ達成できるものである。
さらに、入院中にNSTによる栄養管理がなされ、全身状態が安定して退院した患者が、その後の栄養管理が継続されない、あるいは間違って行われることにより栄養状態が悪化し再入院、という悪循環を絶つには、地域一体型のNSTが必要であると力説。その第一歩として、東口先生は紀北病診施設連携推進協議会を組織し、老人福祉施設、福祉協議会、訪問看護ステーション、長期療養型病院、地元医師会などに呼びかけを行っているとのこと。
 最後に、全身状態・栄養状態を把握した上での正しい嚥下リハビリによって、たとえ一口であっても口から食べる楽しみを取り戻すケースを少しでも増やすこと、それを念頭に置いたNSTとして、栄養管理の重要性を広く普及させて行くことが急務である、と結んだ。

 NST研究会では、勉強会や講演会の開催を希望する参加施設には、このNSTプロジェクトのコアスタッフに連絡すれば講師を派遣してくれるそうである(テーマを含む希望要件の他、講演会のスタイル等もできるだけ明確に)。

もっと詳しく知りたい方は臨床栄養のHPをご覧下さい。
  日本静脈経腸栄養学会のHP(NSTプロジェクトコーナー含む)にアクセスできます。