各地で注目されてきた、地域一体型NST(栄養サポートチーム)。そこには歯科やリハビリ関連のスタッフの参加が欠かせません。
金沢・在宅NST研究会では、早くからNSTの活動を啓発してきました。
摂食・嚥下リハビリテーションについてはどのような取り組みを行っているのでしょうか。
Ⅲ摂食・嚥下機能向上のための取り組み
1.地域全体で統一した患者対応を
-口腔ケア・嚥下リハビリを
地域包括ケアに組み入れる-
金沢脳神経外科病院 リハビリテーション科 河崎寛孝
(所属・役職等は発行当時のものです)
PDN通信 17号 (2006年10月発行) より
(所属・役職等は発行当時のものです)
地域で在宅患者の食事をサポートする器がない
金沢・在宅NST研究会 経口摂取ワーキンググループは、開業医(消化器内科、呼吸器内科)・病院勤務医(消化器外科、リハビリテーション科)・歯科開業医・栄養士・言語聴覚士・歯科衛生士などをメンバーに、現在10施設が参加している。医師の参加が多いのも、このワーキンググループの特徴とのこと。
在宅で食事が問題となるケースには、現在口から食べているが、徐々に食べられなくなってくるケースと、経管栄養を行っているが、口から食べられそうなケースがある。
それぞれ対応は異なるが、実際にはその方法や地域連携という視点からの対応の流れが明確になっていない状態であった。
患者対応フローチャートの作成
そこで、同グループメンバーの金沢脳神経外科病院リハビリテーション科・河崎寛孝先生らが中心となり、情報を一箇所に集約・整備し、在宅患者への適正なアプローチモデルとして、患者対応フローチャートが作成された。
まず、金沢市内で嚥下機能が評価できる、VE・VF検査施行施設情報の整備に取り組んだ。施設名、住所、電話・ファックス番号、電子メールアドレス、担当責任者、施行可能な時間、施行可能な検査、申込方法、検査結果の報告方法などの情報がまとめられた(第5回同研究会で公開)。
さらに、そのフローチャートを用いて、摂食・嚥下障害に介入する前提として、意識レベルと全身状態の安定、家族の希望と能力、本人の希望、かかりつけ医とケアマネジャーの同意等を確認することも明確にした。
「フローチャートそのものは他で作られたものを一部改変しただけだが、その作成を通して患者さんへの対応方法の全体像を整理できたことに大きな意味がある。
今後、実際の事例に対してこの方法を運用し、地域連携ネットワークの中に摂食・嚥下機能評価および指導を組み込んでいきたい」と河崎先生。
PDN通信 17号 (2006年10月発行) より
(所属・役職等は発行当時のものです)