患者と医療者のための情報誌「PDN通信」第56号のご案内
PDN通信第56号 編集後記 PDN理事長 鈴木 裕
今、全世界に激震が走っている。6月24日、大方の予想を覆し、英国が欧州連合(EU)から離脱した。この混乱が2008年のリーマンショックの再来とならぬよう、独仏伊首脳が結束を確認し、日本も政府・日銀の緊急会合などで対応を急いでいる。しかし、不思議なことに当の英国からは「後悔」の声も聞こえてくる。英国は自国のマーチのように「威風堂々」とこの選択をしたかにみえたが、国民が決めた結果に国民が動揺している。
日本は未曾有の超高齢化社会に向けて高齢者医療が議論されている。長い間、寿命を延ばすことは善とする考え方が、ここに来て大きく変わろうとしている。患者の幸福につながらない場合、その生命を意図的に終わらせる選択肢が現実味を帯びてきたのである。この選択は、日本の将来にとって英断なのか否かは時代が示してくれるであろうが、PDNは、この超難問に対して目を背けない覚悟を持っている。
世間ではガイドラインが幅を利かせている。胃ろうに関するガイドラインも御多分に洩れず複数の学会や研究会から公示された。しかし、現場にそぐわない内容も散見される。特に、ガイドラインの根幹をなす適応について、疾患も重症度も異なる患者を十把一絡げに論じられており、抽象的で観念的な印象は否めない。また、がんに関する全体的なガイドラインは存在せず、疾患別の構成になっている。PDNでは、全国の方々の協力のもと、疾患別のガイドラインを創る予定である。
よく考えてみると胃ろうの適応について、画一的に論じるのは少し無理がある。がんのガイドラインも、がん全体のガイドラインではなく、膵臓がんと甲状腺がんでは経過も治療法も異なる。神経難病であっても、アルツハイマー病と筋萎縮性側索硬化症を一つのガイドラインでまとめることは不可能であるはずだ。PDNは、今後胃ろうの適応を、疾患別、重症度別のガイドラインを作成していく。
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