患者と医療者のための情報誌「PDN通信」第66号のご案内
PDN通信第66号 編集後記 PDN理事長 鈴木 裕
私は第65号の編集後記に、胃ろうがなぜ問題視されたのか少し触れました。今回、小野沢先生も巻頭言で、どんなに高度な技術や質の高い在宅医療を提供しても“果たして患者さんや家族は幸せになっているのか”を提起し、“私たちは、これからの時代、医療や介護の目標を死ななくすることから、その人の本当の希望を引き出して、それを叶えることに移していく必要がある”と結びました。胃ろうの問題は、医療界のパラダイムシフトの胎動と捉えるべきなのかもしれません。
西山先生は、患者さんの幸せは何なのかを真剣に模索している医師です。だから、彼の講演や書き物は説得力があるのです。胃ろうの考えは時代とともに変わってきています。一昔前は、胃ろうは食べられないから創る、食べる訓練などは想定外でした。それが今では、食べるための体力(筋力)、気力を蘇らせ、外部環境を整え、生活の質を上げるための胃ろうに変わったのです。半固形化栄養も、食べるための方法論の1つと考えられます。郡先生は、半固形化栄養の基本となるルールについて解説されました。吉田先生も現場医療のプロフェッショナルです。リハビリテーションと栄養を加味した取り組みは興味ある内容です。西岡先生の仕事も見事です。
オピニオンは、まさに多職種連携、チーム医療で活躍されている先生方です。読んで得すること、違いありません。歯科の仕事も大きな変化が現れてきました。歯科医は、食べることを医学的にサポートする専門家であるはずです。ですから、歯を整え、飲み込む能力を踏まえた口腔機能を評価し改善するのは自然です。歯科がそんなに遠くない将来、食べるためのゲートキーパーになるような気がします。そのような視点から齋藤先生の記事を読まれて下さい。
最後に堀内先生、イグノーベル賞おめでとうございます。イグノーベル賞は、決しておふざけな賞ではありません。何よりも、なぜ外国人が堀内先生を知り評価したかを考えるとよく理解できると思います。
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