患者と医療者のための情報誌「PDN通信」第82号のご案内
PDN通信第82号 編集後記 PDN理事長 鈴木 裕
とんでもない論文を見つけました。2020年9月に医学雑誌Radiotherapy and oncology(IF 6.28)に掲載された「The tubarial salivary glands: A potential new organ at risk for radiotherapy」という論文です。前立腺癌の研究において、偶然に鼻と喉に繋がる部分にこれまで知られていなかった約4㎝の一対の新しい臓器(管状腺)を発見したという内容です。これが真実であるならば、世界中の医療者すべてが、何十年にも渡って臓器の存在を見落としていたという事になります。生命を遺伝子のレベルで議論する時代にです。私は、少し天の邪鬼的なところがあるので、医療者がこの新しい臓器を今後どう捉えるのかに興味が惹かれます。意外と躊躇いなく受け入れるのかもしれません。
前置きが長くなりました。82号では偶然、口腔機能の問題が多く取り上げられました。口腔機能の問題は、古くて新しく、そして極めて重要なテーマです。多くの執筆者が述べているように、口腔機能は健康増進、維持、予防の一丁目一番地なはずです。私の灰色の脳細胞に多くの疑問が過ります。なぜ、こんな重要な問題が今まで注目されなかったのか。少し管状腺に似ているような気がします。答えは意外とシンプルなのです。医療者にとって学生、研修、修練期において口腔機能の問題が重要だと習わなかったからではないでしょうか。
82号を、このような穿った見方で読んでいただけると幸いです。
(2023年1月27日発行)
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※現在公開中のPDN通信は、創刊号~第10号まで。順次追加していく予定です。
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