患者と医療者のための情報誌「PDN通信」第84号のご案内
PDN通信第84号 編集後記 PDN理事長 鈴木 裕
私事ではありますが、昨年の11月12日に母校である慈恵医大に緊急入院しました。医師を30年以上もしていますが、これ程まで長期間の入院が必要な治療が存在することを知りませんでした。お陰様で経過は良好で、11月頃には現場復帰ができそうです。患者の立場になり改めて痛感致しましたが、長期入院は日常生活が完全に奪われ、限られたスペースの中で制約尽くしの生活が強いられます。そのような環境から致しますと、特に高齢者や小児の在宅医療は、治療効果以上に自宅で家族と共に過ごせる事が大きなメリットとなるのではないでしょうか。ただ医療を在宅に持ち込む事は、ご家族には計り知れない負担が強いられる事も忘れてはなりません。その救援策としては、レスパイト入院などがあります。そして、今号で特集致しました看護師による在宅での胃瘻カテーテル交換もその一環と思われます。もし胃瘻カテーテルが安全で正確に在宅で交換できるのであれば、搬送から交換までかなりの時間を要する病院での処置が不要になります。在宅での交換は患者さんのみならずご家族、さらには国にとっても福音となる事でしょう。
最後に、巻頭言を執筆された二宮さんにつきまして少々ご紹介させて頂きます。私は、20年程前に二宮さんとNPO法人PDNを設立致しました。PDNの設立動機は、あまりに情報が少ないPEGに関する情報開示を大義名分と致しましたが、今振り返りますと本当の動機は二宮さんのご子息である竜太の交通事故死だったように感じます。私も二宮さんも竜太の死を受け入れられず、竜太の存在を残せるものはないかと模索していた時、当時私と竜太が真剣に取り組んでいて需要の伸びが期待されるPEGに関する非営利組織を造ることと思い至りました。大学勤務医がNPOを設立するなど皆無の時代でしたので紆余曲折はありましたが、どうにか20年に渡りPDNを継続させることが出来ました。これまでご支援賜りました皆様には感謝の念に堪えません。最後になりますが二宮さんに改めてお伝えしたいのは、今でも変わらず私の心の中には竜太の魂が生き続けているという事です。
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