患者と医療者のための情報誌「PDN通信」第86号のご案内
PDN通信第86号 編集後記 PDN理事長 鈴木 裕
令和6年能登半島地震により亡くなられた方々に心からお悔やみを申し上げるとともに、被災された全ての方々にお見舞いを申し上げます。
能登半島地震の発生から10日目となった2024年1月10日現在、ライフライン復旧のメドは立っておらず避難者は2万8000人を超え、石川県で202人が死亡、102人が安否不明となっています。死者のうち、地震後のけがの悪化や身体的負担で亡くなったとみられる、いわゆる災害関連死が珠洲市で6人確認されました。健常な人でも生きることが大変な時に、障害を持つ高齢者などを中心とした災害関連死は、今後大幅に増えることが予想されます。実際、東日本大震災は3792人、熊本地震では226人が災害関連死でお亡くなりになりました。何とその数は、地震で直接死亡した人の4倍を超えているそうです。これらの被害が少しでも減ることを祈るばかりです。
2024年度の診療報酬の改定の目玉に、「リハビリ、栄養管理、口腔管理の一体的実施」が注目され、診療報酬でも強力に進めていくことが示されました。特に医療・介護間での「リハビリや栄養関連情報の共有」を診療報酬・介護報酬の両面で進めていくことが重要であるとされています。リハビリの効果は患者の栄養状態に大きく左右され、栄養状態改善のためには「口からの食物摂取」が重要であることも指摘されています。巻頭言で書かせて頂きましたが、PEGは「食べられないから造るのではなく、その人にとってPEGの益があるから造る」のです。PEGもリハビリの効果を上げる医療行為であって、食べられなくなった人の敗戦処理具ではありません。PEGの真の役割は再び食べることへのサポートであり、一口も食べられない人には生きるためのサポートなのです。いずれにしても患者さんにとっての益を最優先する考え方が基本にあります。今回の診療報酬改定には、リハビリや栄養関連情報の共有が挙げられていますが、まさにPDNが推進している活動に通じるものがあります。
今回のPDN通信には、新しい視点での取り組み(時間栄養学)や各職種の核心的な試みなどが紹介されています。また、それらの活動の学術的な研鑽の場としての第39回JSPEN学術集会が紹介されています。PDN通信は、情報共有のツールとして貢献したいと考えています。
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※現在公開中のPDN通信は、創刊号~第10号まで。順次追加していく予定です。