患者と医療者のための情報誌「PDN通信」第88号のご案内
PDN通信第88号 編集後記 PDN理事長 鈴木 裕
画期的な発見と発明は、歴史を通じて医学の分野を変革し、私たちがより長くより健康に生きることを可能にしました。顕微鏡の発明からヒトゲノムのマッピングまで、これらのマイルストーンは病気の解明と治療における驚くべき進歩への道を開きました。
COVID-19のパンデミックは、医学研究と公衆衛生の重要性をはっきりと示しました。SARS-CoV-2ウイルスに対する安全で効果の高い複数のワクチンが開発、試験され、ウイルスの出現から1年以内に世界中に供給されました。これは、mRNAワクチン技術とコロナウイルスワクチンに関する数十年にわたる先行研究に基づいています。COVID-19ワクチン接種の取り組みの前例のないスピードと規模は、数え切れないほどの命を救いました。今日、私たちが当たり前だと思っている人命救助の進歩は、何世代にもわたる科学者や医療従事者の成果の上に築かれたのです。
未来に目を向けると、医学は驚異的なスピードで進歩し続けています。免疫療法、幹細胞治療、遺伝子治療などの分野でのブレークスルーは、がんへの取り組み、損傷した組織の再生、遺伝性疾患の治癒などに大きな可能性を秘めています。同時に人工知能の進歩により、より迅速な創薬と開発が可能になり、よりパーソナライズされた治療につながっています。
しかし栄養学に目を向けると、小さな経済や経営の忖度によって、本来あるべき真実が崩れ去ろうとしています。消化管が機能し食べることが可能な患者に、食事を止めて点滴で代用する栄養法が当たり前のように普及してしまったのです。今その過ちに気付き、少しずつ修正を図っていますが、その負の遺産は日本国民に重くのしかかることでしょう。
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