患者と医療者のための情報誌「PDN通信」第89号のご案内
PDN通信第89号 編集後記 PDN理事長 鈴木 裕
この時期になるとノーベル賞の発表があり、とても興味深く感じます。スウェーデン王立科学アカデミーは10月9日、2024年のノーベル化学賞を米ワシントン大学のデービッド・ベイカー教授、米グーグル傘下ディープマインド社のデミス・ハサビス氏、ジョン・ジャンパー氏の3人に授与すると発表しました。ベイカー氏は「計算によるタンパク質の設計」、ハサビス氏とジャンパー氏は人工知能(AI)を利用した「タンパク質の構造予測」の研究開発への貢献が評価されました。アカデミーは「3人の研究は生化学と生物学の研究に新しい時代を開いた」と称賛しています。
タンパク質は20種類のアミノ酸の組み合わせで構成され、ホルモンや抗体など生命を維持する上で不可欠な物質です。タンパク質が生体内でどのように機能するかを知るためには、その構造を知ることが必要ですが、以前はその構造を明らかにするために、タンパク質を結晶化し、X線で解析していました。構造解析には結晶化の作業などで数か月単位の時間がかかっていましたが、AIの登場により現在では分単位で予測できるようになりました。これにより創薬にも活用され、莫大な時間と労力が節約されています。
科学の発展は生命や物質にも優しくする鍵を握っています。日々の診療と科学は決して相反しません。
(2024年10月25日発行)
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※現在公開中のPDN通信は、創刊号~第10号まで。順次追加していく予定です。
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