HOME > 長野県北信地区・PDNセミナー開催報告> 2005.9.17

長野県北信地区・PDNセミナー 開催報告

9月17日,長野県北信地区でPDNセミナーが開催された。この日は3連休初日の土曜日、快晴の秋空のもと運動会が各地でいっせいに行われていた。午前10時30分開演で12時30分までのセミナーには、学童を抱えるコ・メディカルには参加したくてもできない事情があったろう。それでも関連メーカーの関係者をふくめて、50人もの聴衆が、内容の充実した藤井、堀内両講師の講演に聞き入った。藤井先生は「PEGのABC」で、PEGの基礎知識と地域連携の大切さを強調され、堀内先生「PEGのいろいろ」は消化器内科専門医として、摂食・嚥下障害に対する積極的、先進的な取り組みについて講演された。

日本の中ではいまも20万人余の摂食・嚥下障害で悩み苦しんでいる方が胃瘻に生命を託しているのが現状です。現在の高度先進医療で救われる生命も、胃瘻で守られる生命も、命に差別があってはならない。20万人余という生命の重さは決して軽視されてはならない。胃瘻に対する医学・医療の社会的関心は未だ希薄で、多職種協働で長期包括的医療・介護体制が不可欠であるにもかかわらず制度的に極めて不十分である。胃瘻普及のスピードが増して、患者・家族に、医療的メリットを享受できないばかりか、逆に被害を蒙ることになりかねず、正しい情報提供と体制が早急に整備・構築されなければならない。

摂食嚥下障害のある高齢者や身体障害者は今後も増勢が続くと推定される。胃瘻による栄養管理は、「正しい適応」、「安全な造設・交換手技」、「責任ある長期看護・介護体制」が肝要である。藤井先生はそのための基礎講座に注力され、堀内先生は専門医として、より積極的に嚥下機能の回復にとりくまれている。両先生の熱い思いが伝わるセミナーであった。
PDNは全国津々浦々、近隣の場で容易にセミナーが開催され、バリアフリーな胃瘻の医療・介護環境が醸成されることを目指して、今後ともこうした地域に密着した活動と歩調を共にしていきたい。

(PDN、二宮英温)