座長の今里真先生 |
当院の公開講座は、今年で6回目となり、私のレポートもこれで6回目となります。今年の講師は、お二人の先生とも前日まで「東京」という超過密スケジュールでの「大分」入りでしたが、疲れを微塵も感じさせないパワフルなご講演でした。
梶西ミチコ先生 |
梶西ミチコ先生は、日本を代表する看護教員でありNSTやPEGのみならず、皮膚排泄ケアの分野でも活躍され、エキスパートナース等の執筆でもご高名です。コメディカルの理想とされる先生で、臨床現場の目線からのご講演にはいつも大好評を博しておられる先生ですが、優しいお人柄と大分県出身の先輩としての親しみもあります。先生が研修先のペンシルバニアの病院で出会った胃瘻栄養の方とのエピソードで、飲めなくなったジンジャーエールを指で唇に一口だけつけ味わい、残りを胃瘻から注入し「ああおいしかった」といったその笑顔に深く感動されたそうです。「PEGを受けて生かされる」のではなく、「PEGを受け生きていく。」こと、「患者のために」を「〇〇さんとともに」と、私たち医療従事者も意識を変えていくことが大切であると感じました。
三原千恵先生 |
三原千恵先生は、脳外科医でありながら、PEGドクターズネットワークやHEQ研究会の重鎮であり、独特の切り口からのご講演や「嚥下障害とPEG」等のご執筆でご高名です。多彩な趣味のひとつである“釣り”では、大物のマグロを釣り上げた際にもNSTスーパーバイザーとしてすぐに栄養計算をされるなど、ユーモアたっぷりに難しいこともわかりやすくお話していただき大変好評でした。脳卒中の急性期(発症1週間以内)は、疾患の程度にもよりますが現疾患の治療に重点をおき、亜急性期(発症約1週間後)に経口摂取開始か、経腸栄養か、あるいは静脈栄養かの選択をする際にリハビリテーション課や看護職などのコメディカルの意見が重要です。意識障害や神経症状によって食事を取れなくなる状態を「食べられないのか」あるいは「食べにくいのか」と分析して、嚥下評価、食事介助、口腔ケアの際に十分に観察し判断していくことも大切なのです。食べているときにむせても咳き込み吐き出すことができたり、ピーナッツが鼻の奥に詰って痛い(野球観戦で興奮して誤飲した経緯から)と感じられる健常人と、むせていないが誤嚥している場合(不顕性誤嚥)や、鼻から挿入された経鼻胃管により、唾液さえも飲む込むことが困難となっている方たちへのアシストやケアを十分に考えていくことが大切だということです。
先生方と |
今回のバイタリティ溢れた先生方のご講演で、「人をケアするのはまず自分自身の心身の健康から」と多くのコメディカルスタッフが、励まされ勇気付けられたと思います。
会場風景 |
ご講演の梶西ミチコ先生、三原千恵先生、楽しいお話をありがとうございました。また、参加して下さった皆様、協力していただいたメーカー、業者の方々に感謝致します。第6回公開講座の模様及び各先生へのご質問の回答は、大分健生病院ホームページでもお知らせする予定です。