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第6回大分健生病院公開講座「経腸栄養」 レポート

開催日時

2009年7月19日(日) 10時~12時

開催場所

大分コンパルホール 1階文化ホール

対象者

医療機関、介護施設、在宅医療に携わる方々(市民公開講座) 

テーマ

「胃瘻に関するコメディカルの挑戦、ケアから嚥下訓練まで」

参加人数

240名

これまでの講演参加人数
第1回目(160名)、第2回(200名)、第3回(270名)第4回(400名)第5回(230名)

参加職種

医師、薬剤師、管理栄養士、栄養士、看護師、内視鏡技師、ケアマネージャー、言語聴覚士、作業療法士、理学療法士、臨床検査技師、放射線技師、医療事務、医療メーカー、および一般

参加領域 大分県下一連、福岡県、熊本県

講師

「胃瘻栄養におけるコメディカルの可能性と挑戦」

【講師】梶西ミチコ先生  福岡大学病院 看護師長(福岡県)

「脳血管疾患症例の栄養~PEGから嚥下訓練へ~」

【講師】三原千恵先生  日比野病院脳ドックセンター室長(広島県)

座長 今里 真先生  大分健生病院(PEGセンター) 副院長

主催

大分県医療生活協同組合大分健生病院

後援

大分県医師会、大分市医師会、大分県看護協会、大分県内視鏡技師会、大分県PEGカンファレンス、HEQ研究会、NPO法人PEGドクターズネットワーク

座長の今里真先生
座長の今里真先生

当院の公開講座は、今年で6回目となり、私のレポートもこれで6回目となります。今年の講師は、お二人の先生とも前日まで「東京」という超過密スケジュールでの「大分」入りでしたが、疲れを微塵も感じさせないパワフルなご講演でした。

梶西ミチコ先生
梶西ミチコ先生

梶西ミチコ先生は、日本を代表する看護教員でありNSTやPEGのみならず、皮膚排泄ケアの分野でも活躍され、エキスパートナース等の執筆でもご高名です。コメディカルの理想とされる先生で、臨床現場の目線からのご講演にはいつも大好評を博しておられる先生ですが、優しいお人柄と大分県出身の先輩としての親しみもあります。先生が研修先のペンシルバニアの病院で出会った胃瘻栄養の方とのエピソードで、飲めなくなったジンジャーエールを指で唇に一口だけつけ味わい、残りを胃瘻から注入し「ああおいしかった」といったその笑顔に深く感動されたそうです。「PEGを受けて生かされる」のではなく、「PEGを受け生きていく。」こと、「患者のために」を「〇〇さんとともに」と、私たち医療従事者も意識を変えていくことが大切であると感じました。

三原千恵先生
三原千恵先生

三原千恵先生は、脳外科医でありながら、PEGドクターズネットワークやHEQ研究会の重鎮であり、独特の切り口からのご講演や「嚥下障害とPEG」等のご執筆でご高名です。多彩な趣味のひとつである“釣り”では、大物のマグロを釣り上げた際にもNSTスーパーバイザーとしてすぐに栄養計算をされるなど、ユーモアたっぷりに難しいこともわかりやすくお話していただき大変好評でした。脳卒中の急性期(発症1週間以内)は、疾患の程度にもよりますが現疾患の治療に重点をおき、亜急性期(発症約1週間後)に経口摂取開始か、経腸栄養か、あるいは静脈栄養かの選択をする際にリハビリテーション課や看護職などのコメディカルの意見が重要です。意識障害や神経症状によって食事を取れなくなる状態を「食べられないのか」あるいは「食べにくいのか」と分析して、嚥下評価、食事介助、口腔ケアの際に十分に観察し判断していくことも大切なのです。食べているときにむせても咳き込み吐き出すことができたり、ピーナッツが鼻の奥に詰って痛い(野球観戦で興奮して誤飲した経緯から)と感じられる健常人と、むせていないが誤嚥している場合(不顕性誤嚥)や、鼻から挿入された経鼻胃管により、唾液さえも飲む込むことが困難となっている方たちへのアシストやケアを十分に考えていくことが大切だということです。

先生方と
先生方と

今回のバイタリティ溢れた先生方のご講演で、「人をケアするのはまず自分自身の心身の健康から」と多くのコメディカルスタッフが、励まされ勇気付けられたと思います。


会場風景1 会場風景2 会場風景3
会場風景

ご講演の梶西ミチコ先生、三原千恵先生、楽しいお話をありがとうございました。また、参加して下さった皆様、協力していただいたメーカー、業者の方々に感謝致します。第6回公開講座の模様及び各先生へのご質問の回答は、大分健生病院ホームページでもお知らせする予定です。

報告者 大分健生病院内視鏡室 佐藤雅子