●安全・快適な胃瘻ライフを支えよう
第1部「症例発表」のトップは小豆沢病院看護部の生方由美子先生。PEG患者さんの情報共有及び管理はファイルメーカーを使用してパソコンで行なっているとのこと。内視鏡室のナースが入力を行うという負担はあるものの、交換に伴う物品の準備や次回交換日の確認などがスムーズに行なえるというメリットがある。病院全体としての今後の課題として、退院後の患者さんも含めたNSTの介入、胃瘻回診の実現、真に患者さんが中心となる環境の構築をあげられた。
木村牧角病院看護部の細田純子先生は、経腸栄養のメリットとして、腸管を使用することによる生理的作用(全身状態の改善)・身体的精神的苦痛が軽減されることによるリハビリや経口摂取への意欲向上の発現、また褥瘡治療における特殊濃厚流動食の効果などを発表された。
台東区立特別養護老人ホーム三ノ輪看護部の仁木薫先生は、区内の高齢化率や特養入所待機期間、介護施設でのPEG患者さん受け入れの現状を説明。さらに胃瘻からの栄養投与が医療行為として介護職が行えない行為であるという制限、及び現状に即していない国の基準などがネックとなって受け入れを制限をせざるをえない状況を訴えられた。限られたスタッフで利用者の希望に応えられるよう、半固形化流動食の導入で栄養投与時間を短縮するなど(これによって施設利用者50人のうち、胃瘻患者さんの受け入れが3人から4人になったそうだ)、医療ニーズの高い方を受け入れる工夫・システムが必要であることを呼びかけられた。
東京都老人医療センター神経内科の金丸和富先生は、同院における胃瘻造設及び交換の現状を報告された。神経内科という性格上、神経難病患者も対象としているので、それらの疾患治療や投薬との兼ね合いもあり、非常に慎重に行なわれている印象を受けた。
第二部「教育講演」は帝京大学外科教授の福島亮治先生が「PEG 造設・管理の基礎」を、最新の造設・交換キットの紹介も含めて説明された。胃瘻造設を必要とする方は低栄養状態の方が多く、細胞組織も脆弱なため、胃内への送気の段階から慎重に行なうよう注意を呼びかけられた。
第三部の質疑応答は、事前に受けていた質問を含め、演者や世話人の先生方にもご回答いただき、日頃の疑問の解決につなげていただいた。予定の16:30閉会を大幅に超過し、17:00過ぎまで延長したが、多くの参加者が退席せずに最後まで耳を傾けていた。
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