特養におけるある夜の研修会

開催日時 : 平成17年6月20日(月) 19:00~ 約2時間
場 所 : 社会福祉法人 白根聖明会

 
PDNセミナー報告

特養におけるある夜の研修会

 山梨県南アルプス市にある社会福祉法人白根聖明会は、特別養護老人ホーム白根聖明園、デイサービスセンター白根聖明園、在宅介護支援センター白根聖明園を運営しています。6月20日、看護職、介護職、職員約60人が研修室に集まり、夜7時からPDNセミナーが開かれました。


山梨聖明園
 

セミナー開催の背景は、胃ろうで栄養管理をする施設の利用者が多いこと。特養の定員70名中、現在、胃ろうで栄養管理をしている要介護者は10名で、7人に1人の割合である。看護職、介護職のみならず、職員も含めて、胃ろうを正しく理解しなければ、入居者の信頼が得られないなどです。
「今夜は調理師をはじめ、全従業員の研修です」以下は、セミナーを計画された中込博文園長の弁です。「現場は待ってくれません。高齢者の福祉と介護に貢献するためには、いま、胃ろうによる栄養管理は必要不可欠となっています。特別養護老人ホーム白根聖明園は定員70名ですが、胃ろう留置の利用者枠6人を設定しましたが、地域のニーズが高まり、現在は10名です。しかし今後もさらに増えるかもしれません。デイサービス利用者の中にも胃ろうの要介護者がおられます。当園では胃ろう留置者の受け入れを拒みません。胃ろうのケアは医療行為であるという規制に縛られていては、現場ニーズに応えることは出来ません。現場は待ってくれないのです。現在3人の看護師(夜7時まで)が常勤ですが、胃ろうの施設利用者のニーズを満たすには、全職員の理解を得て、看護職、介護職の知識・技量のスキルアップが大切なのです。今日は調理を含めて全員参加の研修会です」

中込 博文 園長
 
 講師は社団法人山梨勤労者医療協会巨摩共立病院、副院長、深沢真吾先生です。深沢先生は12年前から胃ろうを手がけられており、多くの経験から、地域医療にかかわっておられます。深沢先生は、山梨県におけるPDNの理事もお引受けいただいており、PDNセミナーの全国展開ではご指導・ご支援をいただいております。
PDNセミナーのキーワードは、『胃ろうと栄養の正しい情報を伝える。全国津々浦々、近隣の場で誰でも参加できる。バリアフリーな医療・看護・介護環境を醸成する』です。今回の聖明園の胃ろう研修会は、まさしく、PDNセミナーの趣旨に合致するものであり、深沢先生にお願いして、当園において、PDNセミナーを開催していただきくことになりました。
深沢先生のPDNセミナーは9時すぎまで約2時間。「胃ろうとは」「胃ろうの適応」「造設・交換手技」「合併症」「スキントラブル」など、胃ろうと栄養の全般的な基礎講座で、PDNセミナーのテキストブックをご活用いただきながら、深沢先生の貴重な体験とご見識、胃ろうついての医学・医療の理念など織り交ぜた内容の濃い講演でした。研修室を埋め尽くした参加者は、最後までメモを取り、時間ぎりぎりまで質問が続きました。こうした研修風景に、急激に普及した「胃ろうによる栄養管理」の現状を垣間見る思いで、感銘するとともに、PDNセミナーに課せられた責任の重さを痛感しました。

深沢 真吾 先生(社団法人山梨勤労者医療協会巨摩共立病院、副院長)
  
  会場風景
(PDN 二宮)