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胃瘻と介護

大学病院での急性期治療が終わり、リハビリテーション専門病院に転院となった兄は、入院早々、大学病院から派遣されたリハビリテーション科と耳鼻咽喉科医師の診察を受け、「嚥下障害は重度であり、しかも意識障害もありますから、口からの食事は現段階ではちょっと無理ですね。誤嚥して肺炎を起す可能性がきわめて高いですから」と診断され、大学病院で造設した胃瘻からの経腸栄養療法を継続することになりました。

それから4ヵ月、「脳梗塞による重度な左片麻痺・失語症・慢性腎不全・ADL(日常生活動作)全介助等々」の肩書きを持った兄はリハビリテーションを、私は在宅に向けての介護指導をリハビリテーション専門病院で行い、平成12年3月14日退院となりました。

在宅では、一つ違いの私と自営業の夫(平均年齢68.7歳)が、介護度5の兄の介護を開始しました。4月より始まった介護保険制度をフルに利用して一年余が経過しました。そして、たくさんの人々のおかげで、仲良しの兄は穏やかに無事すごすことができています。それは、私の喜びでもありました。ボタン型胃瘻につなぐ連結チューブ、膀胱瘻のチューブは、兄の生命のおおもとです。ことに、栄養、風呂上りの水分の補給、薬の注入等で胃瘻の使用は頻繁です。

ボタン型胃瘻は、使い勝手のよさ、清潔さの維持から考えて優れていると思います。いままで、3種類の胃瘻を使用しましたが、それぞれ利点・欠点があります。できましたら、こうした用具を一堂に集めた見本市が開かれたら良いと思っています。

施術者:高野 正雄(70歳)

多発性脳梗塞/左片麻痺・失語症・嚥下障害
PEG歴:1年10ヶ月

筆者:本田 幹子(妹)