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なにくそ!俺はここにいる 112

京都府 飛田洋さん(68歳)

ペグの食事

節電しよう


『一』
ペグの食事の  せいなのか
 体質なのかも  知らないが
十年ベッドを  背負うのに
床ずれなどと  出くわさぬ
 嫌いだ好きと  言えぬけど
ペグの使用の  価値はある

『二』
ペグの食事を  してるから
 便秘の筈など  ないだろう
人より比べて  言えるのは
トイレの数は  減ったけど
 ペグの使用で  良かったよ

『三』
ペグの食事に  してからは
 虫歯や歯痛と  ご無沙汰さ
色んな味とは  無理だけど
ながら族とは  なつかしい
 TVの守りも  出来るとは
 ペグの利用で  ありがたい


『一』
自分の為と  節電しよう
 酷い会社の  売り上げに
 協力なんか  するものか
電気の消費  押さえたら
 自動払いで  気のつかぬ
 金は無情に  出て行かぬ

 『二』
関係なしに  節電しよう
 深く敷地を  堀り下げて
 除染した土  埋めようよ
贖罪する気  あるのなら
 残土は遠く  なるけれど
 東北地方で  盛り土だよ

『三』
節約がてら  節電しよう
 日本人なら  しみついた
 質素始末が  分かるはず
肩肘張らず  意気がらず
 軽い気持で  さりげなく
 日本全土で  がんばろう

★ 贖罪 ~しょくざい
★ 肩肘 ~かたひじ 


お蔭様です

鏡見ぬから


『一』
お蔭様です  ご覧の通り
僕は何とか  生きてます
時々むせて  いるけれど
特に異常は  ありません
『二』
お蔭様です  ご覧の様に
妙に明るく  過ごしてる
色々越えて  来たからか
病抜けした  暮らしです

 『三』
 お蔭様です  ご覧の次第
 夢も自由も  ないけれど
 常々してた  きくばりと
 遠い別れを  告げました
 『四』
 お蔭様です  ご覧の暮し
 平和長閑に  過ごしてる
 中々無我に  なれぬから
 罰を進んで  受けてます


『一』
鏡見ぬから  十年越えて
顔の変化は  気がつかぬ
 不細工等と  呼ばれても
 失礼ながら  気がつかず
  理解力なく  過ごしてる

『二』
鏡見ぬまま  十年越えた
耳毛鼻毛も  気にならぬ
 女房叫ぶよ  ぶさいくん
  失礼だけど  そのとおり
  扶養家族は  もうなれた

『三』
鏡見ぬから  衰え知らず
無精髭から  意地のぞく
 時代錯誤が  世話やかし
 失礼過ぎて  いきどおり
  命あるので  生かされる


寒くなったと言うけれど

食わず嫌いはやめようよ


『一』
寒くなったと  言うけれど
お蔭さまにて  この部屋は
あまり不満を  持たないね
 それが証拠の  着た切り雀
 夏も変わらず
 冬も変わらず  このまんま

『二』
寒くなったと  言うけれど
動きまわれば  気にならぬ
汗をかくほど  あたたまる
 おなじ浴衣の  着た切り雀
 夏に合わせて
 冬に合わせて  着たまんま

『三』
寒くなったと  言うてれば
土筆芽を出し  レンゲ咲き
やがて紫陽花  梅雨あける
 俺は寝たきり  着た切り雀
 夏であろうと
 冬であろうと  このまんま


『一』
食わず嫌いは  やめようよ
 馬には乗って  やるのだね
 競馬はやって  みるのだね
何も知らずに  死ぬなんて
 それじゃ男の  名がすたる
 人と生まれた  甲斐がない

『二』
下手な理屈は  棄てようよ
 人手は入れて  やるのだね
 鵜飼も行って  みるのだね
何もしないで  いるなんて
 それじゃ宝の  もちぐされ
 人で生まれて  来たのだろ

『三』
食わず嫌いは  やめようよ
 波乗りなんか  やるのだね
 俄かもたまに  みるのだね
今のまんまで  いるのなら
 それじゃ嵐に  たえられぬ
 人であるなら  ためすのだ

★ 鵜飼 ~うがい

主治医より一言

<<ペグの食事>>

 日本の政治・経済は、十年来不安定ですが、飛田さんのペグは、十年来安定していて、主治医として本当に幸いです。