なにくそ!俺はここにいる 117

京都府 飛田洋さん(69歳)

これが常識

いつもの人


『一』
世間の風は   冷たいぞ
嘘から噂は   生まれるし
信じるバカと  常識だ
お目出度いのが 引っかかり
お人好しらが  乗せられる
それがこの世の セオリーさ

『二』
世間の風は   冷たいぞ
トイレの扉は  閉じるだろ
開けたら閉めろ 常識だ
何処で教えを  受けたやら
どんな育ちで  いてたやら
親を見たいね  知りたいね

『三』
世間の風は   冷たいぞ
打算と騙しが  大好きで
油断は禁止   常識だ
何が起きても  変じゃなく
いつも備えを  忘れるな
耳はダンボで  聞いておけ


『一』
頭が熱い    ロン毛は嫌だ
これから夏に  向うのに
 想定通り    衛星は
 失敗したと   聞いたけど
そんな事より  散髪してよ
いつもの人に  連絡頼む

『二』
頭が重い    気分が凹む
連獅子もどき  赤ら顔
 震災その後   どないやの
 牛でもやれる  仕事かな
そんな事より  散髪してよ
いつもの人に  電話をかけて

『三』
頭が痒い    もみ上げ伸びた
病人みたい   気が滅入る
 増税ばかり   ぷちあがる
 バカさ加減は  もう落ち目
そんな事より  散髪してよ
いつもの人は  安心出来る

★ 凹む~へこむ


俺の立場で

日赤の時代


『一』
忘れたご免で  済まされる
そんな立場に  なろうとも
 俺はなくさぬ  プライドを
あえて何にも  言わぬけど
許しておらぬ  こらえても

『二』
忘れたご免で  食べられぬ
こんな立場が  わかるのか
 俺はこのまま  食えなくて
恨みばかりは  ますけれど
そこだけ人に  よく似てる

『三』
忘れたご免で  持たされぬ
ベルが音出す  はずがない
 俺はあきらめ  耐え抜くが
陸に上がった  サカナかな
皿のかわいた  カッパかよ


『一』
日赤時代の   カニュ-レ-
今も大事に   使ってる
十何年に    なるのかな
女房の管理が  良いせいか
モデルチェンヂがないせいか

『二』
日赤時代は   床ずれを
やけに心配   してくれた
二時間おきに  体位変え
苦労かけてた  思い出よ
今はベッドを  背負ってる

『三』
日赤時代は   ベル押せず
声を失い    ただ我慢
朝は西日に   起こされて
汗に咽てた   懐かしさ
明日はどうでも 良かったな


後のまつりと悔やんでる

遠慮は尊慮と言うけれど


『一』
廃人みたいに  暮らすけど
 廃人なんかで  あるものか
やりたい事が  やれないが
生きてる事は  生きている
 下手な生き方  したものと
 後のまつりと  悔やんでる

『二』
極楽とんぼで  過ごすけど
 極楽とんぼで  いるものか
触れたい人に  触れられず
抱きたい夢も  抱かれずに
 我慢ばかりが  良いものか
 後のまつりと  悔やんでる

『三』
仙人みたいに  見せるけど
 仙人なんかで  あるものか
食べたい物が  食べられず
読みたい本が  読まれずに
 下手な世渡り  したものと
 後のまつりと  悔やんでる


『一』
異常あるなら  かくさずに
誰かはっきり  告げるのだ
下手に経過を  見ていると
手遅れなんか  なるものだ
 遠慮は尊慮と  言うけれど
 俺は言いたい  遠慮は損慮

『二』
疲れ出たなら  ぼやかずに
口ではっきり  言えば良い
下手な我慢を  繰り返しゃ
想わぬはめが  待ってるぞ
 遠慮は尊慮と  言うけれど
 俺が知るのは  遠慮は損慮

『三』
休みたいなら  つつまずに
すぐに素直に  持ちかけろ
下手な遠慮は  するでない
奥ゆかしさは  馬鹿げてる
 遠慮は尊慮と  言うけれど
 俺は言いたい  遠慮は損慮


主治医より一言

<<日赤の時代>>

 十数年前の日赤入院時代は、床ずれ対策も大変でしたね。今では、ウォーターベッドなどの機能的なベッドや胃ろうを通じた安定した栄養管理のおかげで、その点は、介護も楽になりましたね。

 今後も、患者さんや家族の精神的、肉体的負担が少しでも改善されるように医療が進歩する事を願っています。