飛田洋さん

なにくそ!俺はここにいる 125 (2)

京都府 飛田洋さん(69歳)

ペグの活用

相棒が好き


『一』
デベソにピアスで 十五年
ペグの調子は   絶好調
不自由不便は   贅沢で
栄養滋養に    満足さ
交換するのが   半年で
気の毒過ぎる   短期間

『二』
点滴苦手の    経験者
ペグの遭遇    有難や
床ずれ野郎の   難敵に
制止をするのが  最高さ
一目でわからぬ  格好で
社会復帰の    夢託す

『三』
献立悩まず    考えず
ペグでストレス  解消だ
食欲不振に    挑戦も
流し込んだら   OKさ
今後も私は    愛用し
色んな風に    体験だ


『一』
段取は     素晴らしく
要領は     いただけぬ
相棒は     こうだけど
問題と     気にしない
難点に     なるものか
当方は     こだわらぬ

『二』
贅沢は     云わないし
現実に     過ごしてる
相棒は     言わずとも
最高の     パートナー
欠点も     あるけれど
一向に     とらわれぬ

『三』
性格に     ペケはなく
健康が     気にかかる
相棒が     好きだから
血圧が     気がかりさ
来世が     あるのなら
約束を     果たしたい


悲しき事情

オレの現況


『一』
何も言わずに  消えたけど
嫌いになった  訳でない
 メール一つの  便りせず
 多分恨んで   いるだろう
遠く離れて   暮しても
俺は死んでも  忘れない

『二』
変に関わり   もたせたら
下手な事にも  なりかねぬ
 言えぬ事情を  抱え込み
 深夜バスへと  乗り込んだ
知らぬ田舎の  景色だが
君と心で    見ているよ

『三』
夢に出て来ぬ  面影を
ポートレートに 求めてる
 返事くれない  相棒と
 腹話術にも   なれたけど
辛い嘆きを   背負うけど
俺は今でも   愛してる


『一』
鞍馬の天狗じゃ ないけれど
酒も飲まずに  赤ら顔
オレの現況   人相は
別に興奮    してぬけど
自覚症状    ないのだが
何故か知らぬが 赤ら顔

『二』
変態親爺じゃ  ないけれど
ガーゼ咥えた  よだれくり
オレの現況   病状は
唾液少ない   年寄りが
赤子以上に   だらだらと
牛も逃げ出す  よだれくり

『三』
田圃の案山子じゃないけれど
不便なんだが  幸せさ
オレの現況   生活は
常に干渉    されなくて
何も遠慮    いらなくて
独りぼっちで  幸せさ

★ 田圃~たんぼ


皆がゲームをするように

退屈しのぎをありがとう


『一』
皆がゲームを  するように
パソコン命で  過ごします
 何も出来ずに  あてもなく
 生きてる事は  つらいです
星は見えずに  夜は更けて
音も立てずに  明けて来る

『二』
皆がメールを  打つように
パソコン命で  たたきます
 商業べースの  詩は書かず
 ことばの遊び  しています
疲れ見せずに  気張るのに
弱音なんかを  吐けますか

『三』
皆がゲームを  するように
パソコン命で  生きてます
 準備出来たら  出来しだい
 邪魔せぬ様に  書いてます
こんな親父は  とりあえず
意識しないで  いさせます


『一』
パソコン命の  環境変わり
生活出来るか  心配でした
 そんな憂いを  吹っ飛ばす
 退屈しのぎを  ありがとう
わずか十日の  入院なのに
それが悩みの  種子ちゃん

『二』
右手の二本が  頼みの綱で
運動マヒだけ  警戒でした
 そんな迷いを  張っ飛ばす
 退屈しのぎを  ありがとう
無理と拒絶は  簡単なので
とても非情に  夕子ちゃん

『三』
痴呆の遅れを  密かに防止
及ばぬ事だと  心配でした
 そんな辛さを  蹴っ飛ばす
 退屈しのぎを  ありがとう
こんな調子で  収まる等と
真坂まさかの  雅子ちゃん

★ 密か~ひそか


主治医より一言

<<ペグの活用>>

 1984年に関西に初めてPEGを紹介してから、すでに29年が過ぎようとしています。

 当時は、経口摂取の出来ない患者さんで、意識のある患者さんも、すべて経鼻胃管栄養で管理されていました。意識のある人にとっては、大変苦痛で、チューブの長期留置による潰瘍や肺炎等のトラブルも多く、PEGを導入してから医療関係者や患者・家族に非常に感謝されたのを記憶しています。

 最近の胃ろうバッシングは時代に逆行しており、憂慮していましたが、飛田さんの《ペグの活用》を読んで、ほっとしました。

 これからもブレずに、適切な栄養管理法を啓蒙していこうと思います。