飛田洋さん

なにくそ!俺はここにいる146

京都府 飛田洋さん(71歳)

飛田洋さんは、平成10年11月に脳梗塞を発症しました。

完全四肢麻痺、構音障害、嚥下障害を認め、入院中に胃ろう造設術、気管切開術が施行されました。平成12年6月に在宅へ移行され、かすかに動くようになった指先でパソコンを操り、創作活動を続けています。

毎日書きためたものは、月刊誌としてまとめられ、製本されています。

【雑文暴論】⇒抱きまくら

この間、待望の夏用抱きまくらを娘が手に入れてくれた。

涼しいのは、大歓迎だが、夜間に冷えすぎて、50年ぶりの
神経痛の再発を危惧したが、杞憂に終わってくれて、大変
愛用している。それどころか年中、冷却マクラを、三交代
させていたのを、日中に限り、抱きまくらを、頭部に転用

頭皮湿疹の改善の、期待を込めて今では重宝している。

【俺流・文句と違う・ぶんくやで】

※ 不便でも 言わぬが花で はね伸ばし

※ 慰安婦の 話題にからみ 派手にもめ

※ 安倍人事 ひなだん飾る はなやかさ

※ デング熱 感染ひろがり 果てしない

※ 思い出す 遠いあの日の はにかみ屋

※ 誤報記事 国益そこねて 羽交い絞め

※ 離脱する 夢は消え散る はかなさよ

※ 与野党と 言わず議員は 恥じも知れ

※ 世間から 弾き出されて はすに見る

※ 来る歳を 待たず無情に 歯が抜ける

※ 安保理へ 金はまいても はいれまい

※ 夢を追う 明日も希望も 覇気もない

※ 思い出す あの日貴女は はにかみや

俄かに朝晩涼しく、日中は暑い。過し憎い気候ですね。

東奔西走の先生や、皆様のご健康をお祈り申し上げます。

平成26年10月1日(日曜日)

飛田 洋

どうだろか

不眠症談話


『一』
一から十まで  ぼやくなよ
黙っていても  たまらない
 いくら役目で  あろうとも
 毎度毎度じゃ  泣けて来る
同意する気は  あるけれど
譲り合うのは  どうだろか

『二』
朝から晩まで  うるさいな
現場を見ぬし  わからない
 いくら仕事で  あろうとも
 下手な揉め事  持ち込むな
苦手なんだと  言うけれど
美点見るのは  どうだろか

『三』
次から次へと  ぼやくなよ
黙って聞けば  切りがない
 いくら聞き役  だとしても
 俺は行司じゃ  ないからな
悪く見るほど  つまらない
人に見えるが  どうだろか

『一』
不眠症では   ないけれど
僕は眠れず   起きている
 夜の夜中で   あろうとも
 夜明三時で   ござろうと
昔ながらが   抜け切らず
アーコリャ   アーコリャ

『二』
不眠症かも   知れないが
僕は近ごろ   寝付けない
 一度眠りが   さめたなら
 息を殺して   ひまつぶし
昔であれば   飛び起きて
アーコリャ   アーコリャ

『三』
不眠症では   ないけれど
僕は闇夜も   起きている
 別に支障が   なさそうで
 特に異常も   なさそうで
昔なんかを   おもいだし
アーコリャ   アーコリャ


婆さん婆さん御苦労さん

昔の愚痴だしほっていて


『一』
くされ縁だと  ブーたれて
来たが本音は  すまないね
 婆さん婆さん  御苦労さん
思いもしない  世話させて
礼も云えない  こんなのに
 良くぞ従がい  来てくれる

『二』
手鍋下げる気  そんな気で
死ぬる思いで  決めたろう
 婆さん婆さん  有り難さん
ちがう世界に  飛び込んで
いらぬ苦労を  背負い込み
 よくぞ我慢を  してくれる

『三』
楽になりそで  なれないで
にわか介護を  すまないね
 婆さん婆さん  御苦労さん
何故か婆さん  ちがうのに
皆の真似して  書いてるが
 良くぞ流して  いてくれる


『一』
念仏もどきに  くりかえす
 子供の悪さに  毛がはえた
 優しい語彙ごいの  パレードさ
恩だ義理だと  書きたいが
 今のムードと  くらべてる
 昔の愚痴だし  ほっといて

『二』
別段追われる  訳じゃなし
 推敲手抜きの  なぐりがき
 なれた文句の  文字あそび
理解出来ない  無茶ぶりが
 ボケと老化と  云わぬから
 昔の愚痴だし  ほっといて

『三』
悪戯いたずら書きでも  ないけれど
 落書みたいに  とられてる
 おんなじ夢の  パラダイス
金に埋もれる  気もないし
 金のしがらみ  あるものか
 昔の愚痴だし  ほっといて


生きてることは素晴らしい

俺はこれでもしあわせさ


『一』
着た切り雀で  いるけれど
 生きてる事は  素晴らしい
別に逢う娘が  いるでなし
 外へ出る気が  あるでなし
裸なんかじゃ  おかしいが
 寝間着に寝巻  ズボラかな

『二』
ヨレヨレ爺と  言われても
 生きてる事は  素晴らしい
咽て着くずれ  おこしたり
 好きで暴れて  いるものか
時間経つほど  みだれるが
 こちらは何も  気にしてぬ

『三』
寝たきり爺に  落ちたけど
 生きてる事は  素晴らしい
不便不自由を  とおり越し
 生きてる事が  もうけもの
夢のカケラも  ないけれど
 だけど何とか  明日が来る


『一』
手足マヒして
 言葉出せずに  ひきこもる
運かたたりか  知らないが
 ベッドの主で  生きている
何も出来ずに  いるけれど
 俺はこれでも  しあわせさ

『二』
人と逢わずに
 外へ出もせず  明け暮れる
世間どんなに  変わろうと
 ベッドの今は  変わらない
役に立たずに  寝ているが
 俺はこれでも  しあわせさ

『三』
酒やタバコや
 食べる楽しみ  消え失せた
電話ひとつも  かけられず
 ベッドの上で  ただ過ごす
そんな暮しも  なれて来て
 俺はこれでも  しあわせさ


主治医より一言

<<生きてる事は素晴らしい>>、<<俺はこれでもしあわせさ>>

 小生の幼なじみの同級生(数年前に胃癌で手術)が、先月に御嶽山に登ってきたところだったと診察時に云っていました。生きていれば、必ず希望の光はあると思う今日この頃です。