飛田洋さん

なにくそ!俺はここにいる156

京都府 飛田洋さん(72歳)

飛田洋さんは、平成10年11月に脳梗塞を発症しました。

完全四肢麻痺、構音障害、嚥下障害を認め、入院中に胃ろう造設術、気管切開術が施行されました。平成12年6月に在宅へ移行され、かすかに動くようになった指先でパソコンを操り、創作活動を続けています。

毎日書きためたものは、月刊誌としてまとめられ、製本されています。

【雑文暴論】⇒逆流性胃炎

PEGの交換時期である。前回は主治医の懇意の病院で、
胃の検査を兼ねてペグの取替をして貰った。

結果は、逆流性胃炎 早い話が胃酸過多とか、それは
随分前から自覚症状があった。

驚くこともない、当然である。普通の人は立っている時間
が長く胃は垂直になるけれど、私は寝ている生活だから、
胃も水平で、運動不足どころでは済まされない。

毎日のペグ、TVパソコンで5度~20度の角度でいるから、
極めて消化力が弱い。自宅療養開始時はベッドの上に座っ
たり車椅子に仮設のテーブルで週に三時間、作業療法を受
けていたが4,5年で帰郷されたので中断したまま。

 今はそれもなく、ほとんどが水平の寝っぱなし。

しかし良くしたもので常にペグを流している妻が多忙だと
結構忘れるので口にはせぬが丁度の間隔を開けてくれてる

指摘されてから胃酸過多を意識したのは半年で2,3度である

【俺流・文句と違う・ぶんくやで】

※ 縫いぐるみ 嬉しくないが 苦でもない

※ クーラーを 遠慮するなと くどすぎる

※ 下手をした 空の見えない 口惜しさよ

※ ひとときの 熱は冷めたか クールビズ

※ 取りかえし つかぬ法だと 組み出来ず

焦りすぎ国会に一抹の不安を抱き、今月も作品を送ります

炎天下、凄いとか・皆様のご健康をお祈り申し上げます。

平成27年8月1日(土曜日)

飛田 洋

≪ペグが良い≫

≪文平しゃん≫

二行きめる
『一』
知らぬ間に   古稀越えて
食事の悩み   まるでなく
説明どおり   すれば済む
 毎度が同じ   くりかえし
 失敗しない   ペグが良い

『二』
元気暢気に   古稀過ぎた
毎週二度は   風呂に入り
床ずれ今も   見られない
 栄養足りて   いるせいと
 納得してる   ペグが良い

『三』
お蔭様です   古稀越えて
鞍馬の天狗   みたいでも
血色だけは   負けてない
 介護の妻の   アシストは
 寝巻の下の   ペグが良い

二行きめる
『一』
無理な我慢を  せぬように
意識させない  つもりだね
 考えてるねえ  文平しゃん
暑いさむいは  気のせいさ
知らぬ顔しろ  文平しゃん

『二』
ひとり遊びで  ひきこもり
騒ぎ立てない  つもりかい
 気配り見事だ  文平しゃん
咽ろ咳き込め  こらえるな
それが自然だ  文平しゃん

『三』
余裕ゆとりを  持つてるね
ベルを忘れる  つもりかね
 頭が冴えてる  文平しゃん
痛いかゆいは  気にするな
みんな遙かだ  文平しゃん


≪同じ事なら≫

≪妖怪ゼリー≫

二行きめる
『一』
あやまちは
 元を正して   情けで直せ
誰の言葉か   わすれたが
今の思いも   変わらない
 怒る叱るで   大きく違う
 同じ事なら   心をくばれ

『二』
いきがらず
 まん丸丸く   世の中渡れ
こんな戒め   受けながら
下手な争い   していたな
 俺が俺がで   先頭きそい
 同じ事して   大損してた

『三』
おもいやり
 優しさ更に   気配り大事
誰の為でも   ないけれど
いつも最善   尽くすのだ
 努力工夫で   明日あしたに向い
 同じ事なら   明るく挑め
二行きめる
『一』
妖怪ウオッチ  買うよりは
妖怪ゼリーを  食べたいな
 食べる願いを  無視されて
 こんな立場が  いやになる
 どんな味だか  知らないが
 堪らないのさ  食べたいよ

『二』
妖怪ウオッチ  すすめるが
妖怪ゼリーに  しておくれ
 俺がどれだけ  食うにしろ
 そんな家計に  ひびくのか
 万もいるかな  かかるかな
 酒もタバコも  やめたのに

『三』
妖怪ウオッチ  それよりも
妖怪ゼリーを  食べさせて
 ペグのお蔭で  生かされて
 それで終りは  あんまりな
 どんな味だか  気かぬけど
 毒味したいな  食べたいよ


≪暑いあついと言うけれど≫

≪よれよれ爺とよたよた婆≫

二行きめる
『一』
暑いあついと  言うけれど
何処が暑いと  言うのかね
 田舎そだちに  いつもでも
 ビルの谷間は  蒸し風呂か
  無理に我慢は  させぬけど
  出来る我慢は  するものだ

『二』
暑いあついと  言うけれど
余り聞かされ  うんざりだ
 麻痺で動けず  部屋だけで
 外がどうだか  かかわらぬ
  だけどお前は  そうでない
  下手な我慢を  するでない

『三』
暑いあついと  言うけれど
居てる高さに  差があるぞ
 俺はクーラー  切れぬから
 むしろ寒さを  気にするね
  冷し過ぎなど  避けながら
  出来ぬ我慢を  するものか

二行きめる
『一』
よれよれじじいと  今朝もまた
よたよたばばあが  呼んでいる
 呼ばせる事に  慣れたけど
 返事せぬから  みとめない
俺はとやかく  云えぬけど
 情けないほど  老け込むな

『二』
よれよれ爺と  いつからか
よたよた婆は  くされえん
 遊びのように  なじるけど
 それを大人で  受け止める
喧嘩もどきの  張り合いに
 犬も尾を下げ  避けるだろ

『三』
よれよれ爺に  明け暮れて
よたよた婆が  世話してる
 お互いさまに  老いぼれて
 歳をとるのが  気にならぬ
丸くやるのが  これからの
 残り少ない  取り組みさ

主治医より一言

≪ペグが良い≫

 1984年に初めてペグを施行してから早や31年が過ぎました。色々な意味で“ペグが良い”と患者さん本人から云ってもらえると嬉しいです。

 患者・家族のニーズに対して、医療・介護提供者が常に真摯に耳を傾け、お互い良好な関係を成立させていく事の重要性を今さらながら感じます。今後とも宜しくご指導の程お願いします。