飛田洋さん

なにくそ!俺はここにいる169

京都府 飛田洋さん(73歳)

飛田洋さんは、平成10年11月に脳梗塞を発症しました。

完全四肢麻痺、構音障害、嚥下障害を認め、入院中に胃ろう造設術、気管切開術が施行されました。平成12年6月に在宅へ移行され、かすかに動くようになった指先でパソコンを操り、創作活動を続けています。

毎日書きためたものは、月刊誌としてまとめられ、製本されています。

無責任者の【雑文暴論】⇒【パソコンもどき】


【パソコン】【P・C】と良く書いているが、正しくは
【パソコンもどき】であって一般の【パソコン】でない

 私には単なる便利な?筆記用具で便宜上【パソコン】と
呼んだり書いたりしているが、皆さんの想像なされる
【パソコン】と、形が似ているからで機能は全く違い外部
と連絡がとれない。この文も【パソコン】から時間をかけ
【プリントアウト】して主治医に【FAX送信】して
主治医に送稿して貰い何人かの面倒かけているのか不明で
【知らぬが仏】状態であり、ありがたい事である。

【自宅療養】になり【ペグ】を装着して戻ったのは
自身の記録によれば二千年六月で全身麻痺から指先が少し
動いたのが翌春。

指のリハビリーを兼ねて【パソコン】に挑戦したらと
主治医から薦められたが、食わず嫌いで【P・Cオタク】
の知人からも五年ほど前から(やれば)と言われていたが
私は(忙しい)とか(文系)だとか適当にごまかしてたが
主治医相手では逃げも隠れも出来ない、心が揺らぎ始めた
時に、(意思表示が出来る)(言葉が伝えられる)で
一年余り、多弁雄弁が丸太みたいに寝てるだけなのは苦痛
そのもので、今思うとそれまでの暇つぶしの記憶はない。

当時良く咽て心ならずも、呼び出しボタンを押して迷惑を
かけていたから【パソコン】中に咽ても良いように。外部
接続されておらぬ【パソコンもどき】で老婆心に終った。


残暑厳しき中、お世話をお掛けし今月も作品を送ります。

熱中症に誘われぬ、皆様のご健康をお祈り申し上げます。

平成28年9月1日(木曜日)

≪別離知らず≫

≪生甲斐通り≫

二行きめる
『一』
別離わかれを知らず  恋するな
恋が玩具の   俺じゃない
 閑に任せた   遊びなら
 遠慮しとくぜ  お嬢さん
 映画食事は   パスするぜ

『二』
別離を覚悟   した上の
逢うが必死の  思いだよ
 恋は一人で   憧れて
 愛は二人で   創り出す
 気取る仕種は  かったるい

『三』
別離を知らず  惚れられぬ
愛は小出しの  柄じゃない
 一目惚れだが  構わぬか
 俺で良いのか  確かめる
 先ずの行き先  内緒だね

二行きめる
『一』
自分の立場を  省みず
良いか悪いか  わからぬが
世間世の中   歩いてた
 生甲斐通りに  生きながら
 勝手気ままを  売りにした

 『二』
自分は本音が  味であり
野暮に媚びらぬ 飾らずで
それが結構   話題呼ぶ
 生甲斐通りで  単純で
 下手に生き方  変えられず

『三』
自分も趣味と  好みある
それを無視され 捨て置かれ
なんで黙れる  譲れるか
 生甲斐通りが  信長か
 眠れる獅子を  武器とした


≪脳なし野郎≫

≪玄関テレビ≫

二行きめる
『一』
脳なし野郎は  P・C命
文字を並べて  良く飽きず
一人一日    閑つぶす
 何だかんだと  呼ぶよりは
 関わり持たぬ  生活で
上等してます  この通り

『二』
脳なし野郎は  P・C命
他人の目で見る 中毒は
早い話が    閑つぶし
 作詞夢中で   過ごせれば
 少しは介護の  手が休む
神経いります  この通り

『三』
脳なし野郎で  P・C命
倒れてからの  相棒と
時間つぶしの  閑つぶす
 長くベッドで  寝ていると
 贅沢云う気は  遠慮がち
超越してます  この通り

二行きめる
『一』
玄関テレビの 私は監視
PCしながら  茶を濁す
 長い旅行は   願わぬが
 気分晴らしに  出かけたい
 夢で良いから  可能なら
 旅に出たいな

『二』
玄関テレビで  私はお留守
当然なのだが  退屈だ
 食事がてらの  買出しに
 皆と同じに   行きたいな
 口の不便は   嫌だけど
 胸に抱いてる

『三』
玄関テレビの  私はお守り
窓際族とか   懐かしい
 山の枯木の   賑わいと
 数のうちだと  卑下するか
 居場所定位置  TV前
 守り抜くのだ


≪優しい言葉はないのかい≫

≪受けて流してやるけれど≫

二行きめる
『一』
呼掛け労わり  お疲れと
優しい言葉は  ないのかい
下手な仕事も  取り合えず
する事済ませ  時間外
 明日も忘れず  来るように
 お疲れさんと  言えぬのか

『二』
声掛け励まし  ご苦労の
優しい言葉は  ないのかい
遅い牛並み   亀並みに
やる気を出して おるようだ
 誉めて育てて  行く気なら
 ご苦労さんは  言うべきだ

『三』
微笑み労わり  思いやり
優しい言葉は  ないのかい
酷な仕事も   一通り
言われた通り  こなしてる
 一声かける  事ぐらい
 思いやる気で  言えぬのか

二行きめる
『一』
受けて流して  やるけれど
我慢するなら  従がうが
思い込みだよ  何事も
実に被害は   限りない
責める気持は  無縁でも
辛いものだぜ  本当は

『二』
受けて流して  やるけれど
我慢するのは  得意だが
弱い者への   言いがかり
特に言い訳   情けない
丁稚小僧じゃ  あるまいし
俺をどなるか  偉いなあ

『三』
受けて流して  やるけれど
我慢だけなら  我慢する
思い込みだよ  悪口は
遠慮したいね  ご免だね
云える暮らしは 夢と知り
俺は承知で   頼んでる


主治医より一言

≪説文暴論≪脳なし野郎≪玄関TV

 指のリハビリを兼ねて、パソコンを薦めてから早や15年以上経ちましたね。独特の切り口で世相を斬っていただき、毎回、楽しみにしています。きっと読者の方にも、ファンの方が多いと思いますよ。「心に残る経腸栄養の患者さんたち」フジメディカル出版にも飛田さんとのエピソードを載せておきました。又、持って行きます。