飛田洋さん

なにくそ!俺はここにいる184

京都府 飛田洋さん(75歳)

飛田洋さんは、平成10年11月に脳梗塞を発症しました。

完全四肢麻痺、構音障害、嚥下障害を認め、入院中に胃ろう造設術、気管切開術が施行されました。平成12年6月に在宅へ移行され、かすかに動くようになった指先でパソコンを操り、創作活動を続けています。

毎日書きためたものは、月刊誌としてまとめられ、製本されています。

■ハンサ・無責任/二行きめる個人の見解

《てんぼう》 平成30年6月1日(金曜日)


 後期高齢者になった年寄りの戯言を、お読み頂き感謝です。

さて、この《てんぼう》と言う単語をおぼえてから、65年前後しますか
ら死語かどうか調べようありません。もし差別用語ならば関係者に
お詫びいたします。

 

 私が小学生なったのは終戦五年足らずで、学級文庫が図書と
の出合いだった。今思えば修身の本なども紛れ込んでいて、何気
に読んでいました。自宅には児童書などない戦後の時代である。

 しばらくして少年月刊雑誌が発行されたらしいが、我が家に関
係なかった。せいぜい近くの神社への道端で開かれていた定期市
の露天のゴザに並べられた10円の古本を、立ち読みして歩いたも
のだ。

 ほどなく兄たちが、カバヤ文庫の情報を集めてきた。カバヤキャラ
メルを食べると景品で偉人伝、英雄伝等の児童図書が貰える戦
略に兄弟四人が挑戦して、結果的に家族文庫が出来た秘策
が、家業にあった。普通より驚異的に早く、費用もかけずに応募
出来た。お陰で今もカバヤキャラメルの味を思い出す事が出来る。

 最初に送られてきたのが野口英世の偉人伝であった。

カバヤ文庫の記述と私の記憶によると、猪苗代湖近くの村で生ま
れた当時の育児がそうであったように、赤ん坊の英世が米櫃のフゴ
の中で遊んでると思われて居たが、目を離したすきに、突然の火の
ついた様な泣き声に、夜なべしていた母親が急いで駆け寄ると、
近くにあった囲炉裏に、英世が転げ込み片手に大火傷を負って
た。

 

そこで  《前置きがやたら長いが 高齢者》  だってさ  続く

■ ハンサ・無責任者の川柳風《二行詞》


・おそく来て 自分のことは 先にやる
              恐れ入るけど 猫よりましか

・読み違い  打つ手一つで 天と地と
              他人のしくじり キモに銘じる

・ものごとを 四角四面で  見るじゃない
              丸く見るなら ものごと変わる

・目を開けて 風呂に入れば ややこしい
              何か用事と 気配りさせる

・ぶさいくと 呼ばれ思わず 妻を見る
              オウム返しの 老いの向かう気

・口にして  動き出すのが 遅すぎる
              聞いたその場で 俺は手を打つ

・ゴリ押しに 花が咲いても 実は成らぬ
              枝がくちるぞ 幹に来るかも

・ひとりでは 生きて行かれぬ 生きられぬ
               俺はもちろん 誰もおんなじ

・目をつむり 疲れ取るのも 芸のうち
              みどり色見て 目を休ませる

・いろいろと 心配させる  人がいる
              それを案じて 一人トコふす

・これからは 汗かきじじいと 呼ばれそう
              マイナーチェンジ それも又良い

・云えぬこと 言葉に出来ず 書きつづる
              誰のことやら 何のことやら

・あいさつも 出来ぬ奴らは 下の下の下
              期待持てない 見込ないまま

≪親不孝通り≫

≪お互いさま≫



ワルが闊歩の  街でない
通り名だけが  親不孝通り
男と女が    出逢う街
夢のあるのが  親不孝通り
どこにあるのか 知りたけりゃ
ネット検索   なーんてね


ハゲのおやじを 好む人
若い子も来る  親不孝通り
ウインクし合えばOKで
目線頼りの   親不孝通り
どこにある街  わからなきゃ
ネット検索   なーんてね


ズルをして来た 奴もいる
シフト外れの  親不孝通り
玉の輿かよ   逆玉か
夢はそれぞれ  親不孝通り
どんな具合か  知りたけりゃ
ネット検索   なーんてね


『一』
爺!爺!と   犬でない
何か忘れちゃ  いませんか
 付合い既に   五十年?
 金のワラジも  すり切れた
仏の顔も    二度・三度
親しき仲にも  礼儀あり

『二』
婆!婆!と   反せずに
居るが云えない 事情ある
 知合い今は   腐れ縁?
 掘りも垣根も  無関係
言葉にせぬが  心底は
感謝なしでは  居られない

『三』
爺!爺!と   冷かすが
何か忘れちゃ  いませんか
 若気の至り   思い出す
 鉦や太鼓で   大騒ぎ
あれから過ぎた 半世紀
老々介護を   受ける身よ


≪梅雨の季節≫

≪プラス思考≫


『一』
夏は暑いと   言うけれど
 梅雨の季節は  まだ来てぬ
幾ら寝てても  それぐらい
かんじられない 筈がない
 一人P’C   してるのに
 寝てる子供に  水差すな

『二』
今の暑さは   平気のへ
 これで嘆いちゃ 情けない
楽に寝ている  寝たきりだ
街を歩かぬ   関わらぬ
 云える立場で  ないけれど
 それが体験   当然さ

『三』
蒸すね暑いと  言う通り
 梅雨の季節の  到来か
知らぬ仏が   教えられ
意識しないで  おられない
 空気読めぬが  人並みな
 出来る我慢の  子で居ろよ


『一』
暗く悪くが   苦手なら
プラス思考が  相場だよ
誰も理想で   ないのかな
 後ろ向きより  前向きな
 お人好しだと  過ごしたい
 騙されたって  騙すまい

 『二』
嫌を承知で   我慢して
プラス思考で  暮すけど
何も気楽で   ないのだよ
 謗り合うより  譲り合う
 隣り同志で   過ごしたい
 叩かれたって  叩くまい

『三』
呑気迷わぬ   楽天家
プラス思考と  言うけれど
常に平穏    無事じゃない
 嘆く事より   凹まない
 お人好しだと  過ごしたい
 脅されたって  脅すまい


主治医より一言

ハンサ・無責任者の川柳風《二行詞》

飛田さん独特の風刺でまったく同感です。特に「ひとりでは 生きて行かれぬ 生きられぬ 俺はもちろん 誰もおんなじ」は、介護を受ける人、介護する人に共通する事ですね。(岡野拝)