飛田洋さん

なにくそ!俺はここにいる199

京都府 飛田洋さん(76歳)

飛田洋さんは、平成10年11月に脳梗塞を発症しました。

完全四肢麻痺、構音障害、嚥下障害を認め、入院中に胃ろう造設術、気管切開術が施行されました。平成12年6月に在宅へ移行され、かすかに動くようになった指先でパソコンを操り、創作活動を続けています。

毎日書きためたものは、月刊誌としてまとめられ、製本されています。

■ ハンサ・無責任者の川柳風一途な《二行詞》


①・災難は 何処にでも来る 押し寄せる
            油断するなよ 明日は我が身

②・武器持てば 使いたくなる 人の世よ
            欲が正義を 押さえ込んでる

③・照りかえす お構いなしの 夏舗道
            昼行くひとよ 夕に出来ぬか

④・自分こそ 正しいなんて うぬぼれに
            世渡り上手は そんたく上手

⑤・寝た切りと 高校球児と ホームレス
            同じ土俵は いかがなものか

⑥・弱い犬 吠える犬ほど から騒ぎ
            受けて立つより 相手に不足

⑦・クーラーに 頼り切るより 水たのむ
            汗は出るけど 体は冷える

⑧・従がえば 熱中症より 冷え過ぎじゃ
            対策言うと 年寄りいじめ

⑨・雑音の 入るラジオを 聴いてたら
            ナマの雑音 やんわり拒む

⑩・海沿いと 二十三区と 山の中
            暑さ違うし 比較にならぬ

⑪・気がつけば すでに立秋 過ぎている
            やがて思い出 この蒸し暑さ

⑫・クーラーを 入れりゃすむのか 熱中症
            電気代見て びっくりすりな

⑬・トランプは 良くかきまぜる ゲームでも
            思いちがいだ そうと限らぬ

≪ほんまやで≫

≪世の中じゃ≫


『一』
潮の満ち引き  変わっても
いつも想いは  変わらへん
 嘘やないんや  ほんまやで
口はどうでも  云えるけど
顔はごまかし  きれんのや
 噂やあらへん  ほんまやで

『二』
恵方巻やと   流行らせて
儲けてるのが  あきんどや
 嘘は云うかい  ほんまやで
アホは誘いに  こりもせず
調子乗せられ  無理をする
 噂やおまへん  ほんまやで

『三』
五輪パラリン  ピックやと
夢見た日々に  追いつくか
 嘘になりそで  ほんまやで
今は見るより  するほうや
興味持つよな  気がするよ
 噂は飛びよる  ほんまやで


『一』
胸に一物    手に荷物
持って来るのが 世の中じゃ
 眉に唾つけ   考えろ
 欲を張らずに  考えろ
泣くも笑うも  君しだい
甘い話は    ザラにない

『二』
顔は観音    腹は夜叉
闊歩するのが  世の中じゃ
 逆上せ過ぎずに 頑張れよ
 浮れ過ぎずに  頑張れよ
惚れた晴れたの 火傷には
時の流れも   良いと言う

『三』
薬にもなる   毒ばなし
言って来るのが 世の中じゃ
 耳はダンボで  聞き取れよ
 耳にタコでも  聞き取れよ
選び取るのは  君だから
誰の静にも   出来ないさ



≪先に向かって≫

≪詰らぬ人生≫


『一』
来ない明日を  知りながら
先に向って   頑張るが
少し手抜きを  考えろ
 重い荷物は   遠慮して
 高いところは  手を出すな
若い奴等の   出番だよ

『二』
見込ないのに  付き合って
先に向かって  責任を
一人負いこむ  事はない
 母は五十で   隠居して
 苦労を知らぬ  日々だった
父の存在    忘れてた

『三』
何も云わずに  いるけれど
先に向って   励むにも
僅かずつでも  老いは来る
 望まないけど  老いは来る
 膝や腰への   障りあり
申し訳ない   済まないね


『一』
つまらぬ人生  だとしても
今は後悔    しておらぬ
門外漢の    立場でも
色いろ悩み   考える
我慢するのは  馴れだから
角を立てずに  寝っ放し

『二』
つまらぬ人生  だとしても
何も未練を   残さない
世間世の中   塵あくた
理想を述べて  始らぬ
文句ぼやきと  愚痴もどき
不満分子の   御聞き役

『三』
つまらぬ人生  だとしても
今は俺流    前向きだ
何だかんだの  出来事を
楽しみ乍ら   生きている
口で云えない  礼などは
届けられずに  胸に秘め


主治医より一言

誰よりも世界の最新の情勢を正しく把握されておられウィットに富んだ意見も述べていただいて本当にいつも感服します。これからも、御教示の程宜しくお願いします。(岡野拝)