飛田洋さん

なにくそ!俺はここにいる203

京都府 飛田洋さん(76歳)

飛田洋さんは、平成10年11月に脳梗塞を発症しました。

完全四肢麻痺、構音障害、嚥下障害を認め、入院中に胃ろう造設術、気管切開術が施行されました。平成12年6月に在宅へ移行され、かすかに動くようになった指先でパソコンを操り、創作活動を続けています。

毎日書きためたものは、月刊誌としてまとめられ、製本されています。

■ ハンサ・無責任者の川柳風 《二行詞》


①・十二月 桜の会で まだもめる
             他のテーマー もっとあるやろ

②・大学を 出たが仕事に 恵まれず
             無駄な投資を つづけたものよ

③・妻を避け 浮気相手に 馬鹿にされ
             身から出た錆び つくづく惨め

④・胃の位置が わかるアンタは 胃が悪い
             五臓六腑が 俺にゃわからぬ

⑤・古池や ヘドロわくのが 世の常じゃ
             甘いミツには 小虫むらがる

⑥・パソコンを 転換して知る 年の差を
             何でこの文字 変換できない

⑦・痰で死ぬ 事故のことなら 聞いたけど
             唾のつまりは 聞いたことない

⑧・保身のみ 考えてるか 政治屋は
             おのれ自身が 良かれと過ごす

⑨・来年の ことを言ったら おに笑う
             寝たきりジジイに 弥生の予約

⑩・聴くほどの 価値ないテレビ 音は消し
             画像見ていりゃ 閑はつぶせる

⑪・血圧が そんなに上がるの 避けるなら
             騒ぎなさるな 知らぬふりしろ

⑫・お得意の 古里めぐる【こころ旅】
             こんな場所かと 顧客をしのぶ

⑬・もう師走 何も知らない 閉じ篭もり
             住めばみやこで 年が過ぎ行く

≪やりまっさ≫

≪我慢我の字≫


『一』
頑張りまっさ  やりまっさ
版張りまっさ  やりまっさ
 まだ未だヒヨコで青二才
 広い野っ原   駆け巡り
 孔雀のような  洒落男
 駱駝の様に   でかくなる

『二』
頑張りまっさ  やりまっさ
版張りまっさ  やりまっさ
 まだ未だメダカで未熟者
 青い海原    迷い込み
 鮪のように   颯爽と
 鯨の様に    でかくなる

『三』
頑張りまっさ  やりまっさ
版張りまっさ  やりまっさ
 まだ未だアスナロ夢ん中
 深い森林    樹々の群れ
 苺のように   実をつけて
 檜の様に    役に立つ


『一』
ずっと抗議が  面倒で
言われ放題   好き勝手
こんな暮らしは 嫌だけど
宿六以下にゃ  似合いかな
 元に戻れぬ   運命では
 我慢・我慢だ  我の字だよ

『二』
ずっと付録だ  その他だよ
案山子みたいな 聞き役だ
こんな状況   好まぬが
反撃法は    思案中
 窮鼠却って   猫を噛む
 我慢・我慢だ  我の字だよ

『三』
ずっと家族の  お荷物で
何で贅沢    云えましょう
不治の病で   あきらめが
おのれの主張と 遠慮さす
 相手次第と   なる今は
 我慢・我慢だ  我の字だよ



≪文句ばかり≫

≪商いの過程≫


『一』
部屋に来るなり
文句ばかりを  言うけれど
常に貴女の   勘違い
 感謝こそすら  逆らえぬ
 礼が云えずに  困ってる
 辛い気持が   わかるだろ

『二』
ああだこうだと
文句ばかりと  言うけれど
思い違いの   勘違い
 看護介護を   受けていて
 恩は着た切り  雀だが
 いつも済まぬと 詫びている

『三』
何処で聴いたか
文句ばかりと  言うけれど
実に笑える   勘違い
 疲れでたのか  無理もない
 苦労我慢が   報われぬ
 月日ばかりで  悪しからず


『一』
一と一とで   二が普通
三に四にして  商人や
指は損得    弾くもの
鯉の駆け引き  荷が重い

 『二』
 子守りがてらに 通り名を
 歩きながらに  記憶する
 揉み手丁稚に  欠かせへん
 それがワヤやと どうもならん

『三』
好きや好きやは まだ早い
せめて手代に  なるまでは
店の印の    前垂れを
誰が見てるか  わからへん

 『四』
 淀の流れが   尽きぬよに
 老舗暖簾も   永遠に
 揉み手丁稚にゃ 芸のうち
 口のへの字は  みとれへん


主治医より一言

ハンサ・無責任者の川柳風

明けましておめでとうございます。昨年末のパーキンソ患者の胃瘻造設は無事に施行出来、在宅での安定した経腸栄養管理が始まっています。まずは、経鼻胃管からの離脱が出来、患者本人、家族の負担(精神面も含めて)が減り、ゆあれやれです。これから、この患者さんの地域に合ったチーム医療の構築に努めたいと思っています。本年もよろしくお願いします。(岡野拝)