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なにくそ!俺はここにいる88

京都府 飛田洋さん(66歳)

後期高齢者

今の暮らし


『一』
ながら族だと  言われても
何かしながら  ペグをして
今をいっぱい  生きている
 明日は見込ぬ  今日過ごす
 俺は寝たきり  後期高齢者

『二』
ながら族だと  出来るのさ
TV見ながら  ペグをして
これは癖だと  ズボラする
 笑いこぼれる  暮らしから
 俺は泣かない  後期高齢者

『三』
ながら族だと  言うけれど
読書しながら  ペグをして
時間無駄には  したくない
 朝の目覚めは  もうけたと
 俺はごぞんじ  後期高齢者


『一』
人のやらない  生き様が
誇りで自信で  あった筈
人のでたらめ  かげ口は
すでに忘れて  いる事で
今の暮らしを
今の暮らしを  嘆くまい

『二』
人の出来ない  やり方が
人気で贔屓を  作ってた
儲け二の次ぎ  三の次ぎ
種を蒔いては  育てたが
今の暮らしを
今の暮らしを  嘆くまい

『三』
恋のパタンは  数でない
愛のムードは  餌でない
口に出さない  思いやり
何気なさげを  思い出に
今の暮らしを
今の暮らしを  嘆くまい


ルール違反

楽する事


『一』
変更したなら  連絡ぐらい
するのが常識  セオリーさ
 十九二十じゃ  あるまいし
 忘れていたで  ごまかすな
待つ身は辛い  ものなのさ

『二』
約束したなら  変えるとき
こちらの了解  得るべきで
 梨のつぶては  なめている
 忘れていたは  ひどすぎる
無駄な時間を  待ちぼうけ

『三』
気配り手配り  こころがけ
相手の立場に  なってみろ
 そんな貴女が  待たされて
 怒りはさめた  飛んでった
ルール違反は  下の下の下


『一』
過ぎたる物は  罪である
過ぎたる愛は  迷わせる
 巣立つ雛なら  追い払い
 自立さすのも  慈愛だぞ
楽することは
楽することは  後まわし

『二』
過ぎたる欲は  悪を呼び
過ぎたる愛に  甘え呼ぶ
 足るに従がう  姿勢なら
 善をおこなう  人になる
楽さすことは
楽さすことは  後まわし

『三』
過ぎたる道は  戻れても
過ぎたる愛に  帰れない
 老いた見本で  学ぶなら
 下手な方へと  進むまい
楽することは
楽することは  後まわし


作者の本音を知らないと

それが老舗の売りやから


『一』
斜め読みでも  いいけれど
作者の本音を  知らないと
見逃すことが  あるのだよ
 じっくり文面  見ていれば
 謎ではなくて  読み取れる
 そこで理解の  はじまりさ

『二』
拾い読みでは  つかめない
作者の本音を  知らないと
字面で見てる  ことになる
 どっぷり文章  見るほどに
 寂しがりやが  わかるだろ
 妙なフレーズ  何処となく

『三』
走り読みだと  飛ばしてる
作者の本音を  知らないと
違った意味で  とらえてる
 すっきり納得  したいなら
 隠し切れずに  さらしてる
 文を二度目で  読み取るさ

『一』
玄関開いたら  おいでやす
間髪入れずに  おいでやす
それが老舗の  売りやから
 商いするなら  やる気なら
 たずねる人は  へだてなく
 安心あたえて  うけこたえ

『二』
仕事の途中も  おいでやす
食事置いても  おいでやす
それが老舗の  売りやから
 商いする気を  見られてる
 電話のベルに  駆け寄って
 受話器に頭を  下げるのさ

『三』
笑顔を忘れず  おいでやす
白い歯を見せ  おいでやす
それが老舗の  売りやから
 商いするなら  なにげなさ
 喧嘩をしても  持ち込むな
 安らぎ憩いを  取りあえず

主治医より一言

<<後期高齢者>>

 今の私達があるのも先人達のおかげと常に感謝しています。すべての高齢者が安心して暮らしていける社会に早くなってほしいものです。ペグもその一端が担えれば幸いです。