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<PEGで復活。96歳の母> その後

下山 忠(埼玉県所沢市)

※ 以前お送りいただいた体験談<PEGで復活。96歳の母>のその後の様子です。

今年3月に投稿した少し後までは、食事も薬もすべて経口からでPEGは一切使用していませんでした。

しかし4月に、一番恐れていた誤嚥性肺炎を起こしてしまいました。2週間くらい微熱が続きましたが、幸い入院もせず投薬で回復。
この間、PEGからの栄養摂取に戻しました。

回復後、改めておかゆなどの経口摂取からやり直し、再び3食とも食べられるようになりました。
でも、薬で何杯も水を飲ませることによるリスクを回避するため、薬と一部水分の補給はPEGから、食事と普段の飲み物は経口からの併用を6ヶ月続けていますが、現在まで順調です。

先日、2回目のPEG交換を行いました。
母はすでに97歳になりましたが、最近、好きな魚や桃の缶詰を食べたときなど、「とってもおいしい。ありがとう」と言うのです。
介護者にとっては、至福の瞬間でした。
また、食べることによって会話が成立するようになり、明らかに認知症の進行防止、改善が見られ、リスクがあっても食べることの方が、回復への効果が大きいと実感しました。


ところで先日、高齢者ケアの意思決定プロセスに関するガイドライン(H24年6月)PDFfileを読みました。
素人の私には難しいけど、要旨だけは理解できたつもりでおります。

また、新聞で介護相談サロン「ソワニエグラン」さん(東京)の、お祖母様の介護体験記事を読みました。
母のケースと同じように、PEGから食事ができるまでの回復をされ、救命ができたとのことでした。
私も母が倒れた時、単なる延命のための医療と判断したならば、心臓ペースメーカーやPEGの使用は納得しなかったでしょう。

救命、延命の判断は、医師の方々、家族にとっては、本当に難しい問題だと思います。
その意味では、今回、母の命を救えたことは、正しい判断だったと考えています。

また、在宅介護だからこそここまで回復できたと、誇りを持っています。

母は認知症も進み、誤嚥性肺炎や転倒による寝たきりの心配が付きまといますし、いつかは人生の最終章を迎えなければなりません。
そのとき私は、PEGの使用中止も視野に入れ、自然体で向き合うことを決めております。
それまで可能な限り、医療、介護関係者の皆さんのご協力を得て、在宅での介護、終末を実現していきたいと考えております。