第1回 嚥下障害患者に対する経皮内視鏡的胃瘻造設術(PEG)の有用性と嚥下障害の病態
東京慈恵会医科大学リハビリテーション科 木村知行先生
はじめに嚥下障害対するリハビリテーション地打てーまで3回に分けて連載します。まず私が、嚥下障害患者に対する経皮内視鏡的胃瘻造設術(以下PEG)の有用性と嚥下障害の病態について説明し、次回は、東京慈恵会医科大学リハビリテーション科の大熊るり先生に、嚥下障害に対する治療とはどのようなものかを具体的に解説してもらう予定です。最後に、東京都リハビリテーション病院の高橋良枝婦長に、実際に食事をする際の注意点やコツなどを説明してもらいます。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
1.PEGと嚥下障害急激な高齢化社会を迎え、嚥下障害患者に対する臨床効果および医療経済両面において、PEGは画期的な方法です。PEGは、従来行なわれていた経鼻胃管(マーゲンチューブ)からの栄養剤投与より、患者苦痛の軽減、逆流性の誤嚥、衛生面などについて目覚しい改善をもたらしました。しかしながら、脳血管疾患や神経疾患による嚥下障害は、PEGを施行したからといってご飯が食べられるようになるわけではありません。しっかりとした嚥下リハビリテーションを行わなければ、嚥下能力は向上しないのです。 嚥下障害患者に対してPEGを施行すると、リハビリテーションを施行しなくてもご飯が食べられるようになる症例が多く認められます。これを私は、「インチキ嚥下障害」と呼んでいます。これらの症例のほとんどが、廃用(使わないことによって機能が低下すること)のために起こった嚥下障害です。そういう患者の大部分は、全身状態が悪かったために食事ができなかっただけで、神経学的な麻痺によって嚥下障害が出現したわけではありません。 例えば、健康な人でも栄養状態が悪くなると、足の筋力が弱くなって走れなくなりますよね。それと同じように、低栄養状態にある患者は、嚥下を司る筋肉の力が低下するために、食物が食べにくくなるのです。そのため、PEGを施行して胃瘻カテーテルを留置することにより、定期的に確実な栄養補給が可能となり、全身状態が改善するため嚥下能力も向上するわけです。しかし、脳神経麻痺による重度な嚥下障害では、栄養状態をよくするだけでは、嚥下能力はほとんど改善しません。
4.
環境整備
また、平成12年4月より介護保険制度が開始され、介護サービスを利用するにあたっては、要介護認定を受ける必要があります。要介護認定とは、介護サービスの利用を希望する人が、介護保険の対象となるかどうか、また、どのくらいの介護を必要とするかを公平に判定するものです。そのためには、まず在宅介護支援センター、または区や市町村の相談窓口で要介護認定の申請を行ってください。 |
5. 現在の問題点 (1) 縦割り医療 (2)
病診連携システム (3)
言語聴覚士(speech therapist : ST)の不在 嚥下障害に対するリハビリテーションが適正かつ安全に行われるために、これらの問題を解決してゆくためのネットワークやシステムを構築してゆくことが必要でしょう。 |
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