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胃瘻からの半固形短時間摂取法ガイドブック
胃瘻患者のQOL向上をめざして

胃瘻からの半固形短時間摂取法ガイドブック

香川大学医学部附属病院総合診療部
合田文則・著

ISBN4-263-70488-6
B5 68頁
定価¥1890(本体¥1800+税)
発行:医歯薬出版(株)
TEL:03-5395-7626(編集)・7616(販売)

PDN通信第16号に「胃瘻からの半固形化栄養剤(食品)短時間注入法」をご寄稿いただいた合田先生の強い思いは、医療者サイドからの「栄養投与」というコンセプトを患者サイドの「栄養摂取」のコンセプトへと変換を図ることでした。

胃瘻患者さんに対して「ハイお食事ですよ」と声をかけて栄養剤のチューブをつないでも、通常の食事の何倍もの時間がかかることは事実ですし、家族とテーブルを囲んで同じおかずをミキサー食として胃瘻から摂取してこそ食事というのではないか、という思いを抱いている胃瘻患者さんもおられることでしょう。そういう患者さんたちのQOL向上を重視した栄養摂取法の一つとして、合田先生が10年にわたり検討してこられた半固形経腸栄養剤(食品)による短時間摂取法のノウハウが紹介されているのが本書です。

確かに現在市販されている経腸栄養剤(食品)は、取り扱いや使用後の処理が簡単ですが、『胃瘻からの経腸栄養法が始まった初期(1970年代まで)には食物をペースト状にして唾液と混和後に胃瘻より注入する方法が行なわれていた(本文より)』のだそうです。実際、合田先生を訪ねてこられた83歳の女性は、40年間自分の口で咀嚼した食べ物を漏斗からゴムチューブ(血圧を測るとき駆血帯に使用する太いゴムチューブ)を通して胃に入れて栄養を摂ってこられたそうです(本書にはその写真も掲載されています!)。

この患者さんに出会った合田先生は「本来、人は固形物を摂取しており、口の中での咀嚼により、唾液と混和して半固形となった状態で胃内に入っており、液体である必要はないはずだ。昔の先生は偉い、これぞ温故知新であると直感した」と本書に記しておられます。

短時間注入法の実際やエビデンス、実施時の留意点など、半固形化を考えておられる方々の知りたかったノウハウが満載されている本書ですが、その行間から、患者さんやご家族に対する合田先生の暖かな眼差しも一緒に読み取っていただけると思います。(PDN編集部)

・推薦のことば
・序文
・謝辞

I 液体栄養剤に関連する問題点
胃瘻造設とその予後
液体栄養剤による胃瘻栄養患者の胃食道逆流と誤嚥性肺炎
市販の液体栄養剤による胃瘻栄養法とその合併症
胃瘻患者とQOL
プロローグ―半固形食による経腸栄養を40年続けた83歳女性との出会い
なぜ経腸栄養剤は液体なのか?―経腸栄養剤が半固形ではだめな理由
II 半固形経腸栄養剤(食品)による短時間注入法
半固形経腸栄養剤(食品)とは
粘度とは
胃の貯留・排泄能と半固形食摂取
半固形食短時間注入法と消化管ホルモン
半固形食短時間注入法の利点
液体栄養剤投与法と半固形食短時間摂取法の比較
III 胃瘻からの半固形短時間注入法の手技とそのエビデンス
胃瘻患者の胃内容排出能や胃食道逆流と経腸栄養剤(食品)の粘度
胃瘻からの注入に適した栄養剤の粘度は?
簡便に注入できるカテーテルやチューブは?
・チューブ式を推奨,ボタン式は注入困難
・カテーテルは20Fr以上のものを使用
胃瘻から注入の際の適切な注入圧は?
・適切な注入圧は150~300mmHg
食品の種類やpHと粘度の関連
IV 胃瘻からの半固形短時間注入法の効果についてのエビデンス
消化管運動への効果
・半固形短時間摂取法の消化管運動への効果の検討
胃内pHへの影響
・半固形短時間摂取法の胃内pHへの効果の検討
血糖および血中消化管ホルモンへの影響
・健常人ボランティアによる検討
・胃瘻患者における検討
誤嚥性肺炎に対する効果
下痢やダンピングへの効果
患者のQOL向上への効果
医療経済への効果
・ミキサー食導入による病態別栄養管理とその経済効果
・介護者の負担減による経済効果
V 胃瘻からの半固形短時間注入法の実際
半固形短時間注入法の適応と除外
注入する半固形栄養剤(食品)
手技の実際
・市販の半固形栄養剤を加圧バッグを利用して注入する場合(テルミールソフト)
用意するもの
手順
・粘度調節したミキサー食をシリンジで注入する場合
用意するもの
手順
市販の液体栄養剤やミキサー食を使用する場合の注意点と工夫
コラム
粘度調節の実際
・施設では胃瘻食として提供する
注入圧の注意と加圧バッグ使用の工夫
VI 胃瘻からの半固形短時間注入法実施時の留意点
必要エネルギー量,たんぱく質量の設定
水分補給量の設定
微量元素欠乏症の予防
内服薬の投与
便秘
下痢
チューブの洗浄法
栄養剤による感染の防止
口腔内洗浄の確実な実施
VII 胃瘻患者のQOL改善のために
NSTによる早期栄養介入と嚥下リハビリテーションの必要性
栄養療法と倫理問題
地域連携と啓蒙活動
・家族参加・地域連携型NST活動のすすめ
・在宅胃瘻栄養に必要な教育・指導および情報
栄養投与から栄養摂取へ

・参考文献


PDNでの取扱なし
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