PDN通信第12号にもご寄稿いただいた宇野先生は、勤務先のケアミックス型病院で排便困難による便秘・嘔吐・肺炎などで苦しんでいる多くの患者さんに対し、消化器内視鏡医として培ってきた技術を役立てることが出来ずに悶々とされていた時代を経験しておられます。その後、2001年に米国から経皮内視鏡的盲腸瘻造設術(PEC)による順行性浣腸の研究報告が発表されたことを機に、排便困難に対して内視鏡医が貢献できる可能性を追求し始められ、宇野式PEC法の開発にいたりました。
内視鏡を使った盲腸瘻造設は、PEG同様開腹手術に比べ、からだへの負担も医療費の負担も軽減することができ、摘便や肛門からの浣腸が自律神経過反射(脳出血をきたすこともある)を生じているのに対して、盲腸瘻からの順行性浣腸では腸が奥のほうから収縮するため、大腸内の便がまとまってスムーズに排泄されるというメリットがあるとのこと。この方法は、地元北海道新聞でも取り上げられ、患者さんやご家族からの問合せに対して説明用に作ったパンフレットが本書の原型となったそうです。
一方、この手技を安全に行なえる消化器内視鏡医の育成と医療行政の理解なしに、本法の普及は難しいことも事実。排便困難に苦しむ患者さんを目の前に腕組みしておられる内視鏡医の先生方、そして医療行政にかかわっておられる皆さんには是非お勧めしたい本です。便秘のメカニズムなどについてもわかりやすく解説され、各章ごとに完結た内容なので、興味のある一般の方もお読みになってはいかがでしょうか。(PDN編集部) |