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高齢者ケアの意思決定プロセスに関するガイドライン(試案改訂第一版)を読んで

医療現場でキーパーソンとされる患者の家族などは、人工的水分栄養補給方 (AHN)の要否を決定する際に、『できるだけのことをやってあげてください』という表現をすることがあります。これは、『少しでも長く』という本人の意志というよりも、キーパーソンが決定したことに対して、関係者から後ろ指を指されないようにするという、ある意味、責任回避的な発言のことが多いと思います。

日本には、まだまだ、一部の宗教を除いて、旅立ちが幸せになるという概念はありませんので、何もしないという選択肢は並列には存在しにくいのですね。

一般的な社会啓発が行われることも必要と考えます。国際的長寿国をたたえる報道だけではなく、「何歳を超えたら、死ぬことが素晴らしいと言えるのか」について考える場が必要ですね。

東邦大学医療センター大森病院栄養治療センター 鷲澤 尚宏