飛田洋さん

なにくそ!俺はここにいる 123 (2)

京都府 飛田洋さん(69歳)

笑う門には

現実ばなれ


『一』
笑う門には   福来る
 昔の人じゃ   ないけれど
 そんな気分を  真似ている
お前の顔で   笑うほど
俺は神経    太くない

『二』
笑う門には   福来る
 体に良いと   聞いたから
 いつも明るく  過してる
陰気な面の   呼び出しじゃ
更に来るのも  辛かろう

『三』
笑う門には   福来る
 心でやれる   事ならば
 家族愛和が   関の山
お蔭で実に   極楽で
泣きの涙は   似合わない

『一』
デパ地下散策  恒例の 恒例の
現実ばなれの
現実ばなれの  逃避行 逃避行
看護と介護の  生活は 生活は
面倒ばかりの  毎日さ 毎日さ

『二』
デパ地下訪問  公認の 公認の
現実ばなれの
現実ばなれの  息抜さ 息抜さ
悲しい二人の  運命は 運命は
忍耐づくしの  腐れ縁 腐れ縁

『三』
デパ地下徘徊  安全な 安全な
現実ばなれの
現実ばなれの  骨休め 骨休め
極楽とんぼの  究極の 究極の
感謝がわりの  贈り物 贈り物


只今待機中

監視カメラ


『一』
墨絵ぼかしに  開けて来る
 都市の景色は  見飽きても
 空のパノラマ  見惚れてる
重いカーテン  ながめても
土竜みたいに  暮らしても
寝ている事も  楽じゃない

『二』
鳥が群れなし  飛んでいる
 遠いやまぎわ  目を止めて
 何羽いるかと  追うている
やがてまな板  乗る身では
気分ばらしの  パソコンで
時間つぶしの  ひまつぶし

『三』
雲はその場で  浮いている
 町はざわめき  かけて来る
 窓のあかるさ  増して来る
予定あるぞと  云い聞かせ
未練のこして  おくことが
俺のせめての  がんばりか

★ 土竜~もぐら


『一』
監視カメラで  見張るなら
僕が寝ながら  出来るはず
 誰もが離れて  行くのなら
 そんな役でも  させてくれ
知らない人が  来たならば
ベルでその旨  知らせよう

『二』
監視カメラの  お守りなら
作詞してても  出来るはず
 誰もが遠くに  行く気なら
 少し気がかり  減るだろう
おかしな音が  聞こえたら
目線かえれば  やれるから

『三』
監視カメラの  見張りする
TVつけてよ  まかせてよ
 画面の動きを  見るだけで
 刺激もらえて  やる気出る
何にもせずに  食べるのは
生きる資格が  ないからね


後であとでは方便でして

年寄あつかいするなかれ


『一』
後であとでは  方便でして
近いうちとも  変わらない
 時間にらんで  めくじらを
 立てる患者は  下の下の下
こんな時には  ゆとり持ち
気長でいよう  ゆったりと

『二』
後であとでは  口癖でして
深い意味など  ござらぬは
 つまり職場の  ブームかも
 誰も彼れもの  流行りだよ
べつに急ぎで  ないのなら
愛してるなら  待ってやれ

『三』
後であとでは  習慣でして
悪気なんかは  ありませぬ
 ボケて忘れる  歳じゃなく
 若さも武器の  ナースだよ
どうせ嫌ほど  ひますぎて
焦ればアホと  みなされる


『一』
頑固強情    天の邪鬼
依怙地偏屈   へそ曲り
年寄あつかい  するなかれ
寄らば大樹の  陰だけで
長く人生    歩めるか
こいつが俺の  信条さ

『二』
二時や三時で  あるまいし
五時や六時に  起き出して
年寄あつかい  するなかれ
朝の目覚めが  合図にて
若い時から   何かした
そいつが俺の  信条さ

『三』
短気瞬間    湯沸し器
いらちせっかち 忙しなく
年寄あつかい  するなかれ
後で後でと   明日にする
程に人生    永くない
こいつが俺の  信条さ

★ 天の邪鬼~あまのじゃく

★ 依怙地 ~いこじ   


主治医より一言

<<FAX送信のご挨拶>>

 お帰りなさい! 便潜血をきっかけに胃カメラ、大腸カメラと御苦労様でした。胃カメラで早期の腫瘍が見つかって、おまけに内視鏡治療で完全切除が出来てホッとしています。たまには、内視鏡下の胃瘻交換も必要ですね。