飛田洋さん

なにくそ!俺はここにいる148

京都府 飛田洋さん(71歳)

飛田洋さんは、平成10年11月に脳梗塞を発症しました。

完全四肢麻痺、構音障害、嚥下障害を認め、入院中に胃ろう造設術、気管切開術が施行されました。平成12年6月に在宅へ移行され、かすかに動くようになった指先でパソコンを操り、創作活動を続けています。

毎日書きためたものは、月刊誌としてまとめられ、製本されています。

【雑文暴論】⇒十二月

 十二月と云えば師走・歳末福引・大掃除で思い出すのは
小学高学年から担当でやらされた当時の門洗いである。

戦時中に亡くなった祖父の自慢の歌舞伎門だとか聞いた。

母が終戦後、家洗いの職人さんから聞き出した二種の劇薬
を使い寒風にさらされながらの外の手伝いは大変だった。

Aの薬剤を竹のササラに付け拭きBの薬剤をタワシにつけ
磨いて汚れを落とした。高校時代までの年中行事だった。

 病気の問屋みたいな父の代理をしていた連中の手に係り
道交法とかの改正で、路駐禁止!あっさりガレージにされ
それまでの趣きは全く失われ今もって残念で堪らない。

【俺流・文句と違う・ぶんくやで】

※ 忍び寄る 冬が来たかと 生きのびる

※ 自主的に 我慢をさせて いいのかな

※ 不満気な 顔を浮かべて 云い出せず

※ 死刑より 生きる辛さと いかり知れ

※ 痛むなら 口にするより 医者に行け

※ 安倍政治 選挙の結果は いかがかな

※ 弱いほど 吠えて脅して 威張るもの

※ 爪伸ばし 介護の風呂か いかんがな

※ 運命だと 恨んで逃げる 意気地なし

何だかんだ半年、何代目かのペグの交換宜しく願います。

更に寒くなります、皆様のご健康をお祈り申し上げます。

平成26年12月1日(月曜日)

飛田 洋

ペグこそ命

お墓まいり


『一』
ながい間を   寝たまんま
扶養家族で   世話になる
 栄養滋養に   すぐれてて
 床ずれ等の   おそれない
ペグは命の
ペグは命の   ナースだよ

『二』
ながい間を   変わりなく
嫌に元気は   気にするな
 鞍馬の天狗   みたいでも
 病人らしく   見えぬだろ
ペグは命の
ペグは命の   ナビなのさ

『三』
ながい間を   パソコンで
趣味三昧を   ひまつぶし
 自宅介護に   とりあえず
 一寸息抜き   くれている
ペグは命の
ペグは命の   みちしるべ


『一』
お墓まいりに  行けぬなら
 せめて仏間に  行きたいな
常にまいる気  あるけれど
 不便不自由で  ままならぬ
たたり業かも  知らないが
 すべて運だと  あきらめた

『二』
お墓まいりが  出来たなら
 そこで先祖に  お詫びする
家をまかされ  背負わされ
 守りきれなく なりそうと
今はみじめに  見えてても
 これでお蔭で  しあわせさ

『三』
お墓まいりに  けたなら
 そして先祖に  云いたいね
こんな立場に  なるけれど
 欲を張らずに  生きている
割と小さな  よろこびを
 家族みんなで  抱いている


そんなの俺が知るものか

愚痴と文句を聞くけれど


『一』
ゴミだし中と  ボヤクけど
そんなの俺が  知るものか
 それなら先に  言ってくれ
 聞けば少しは  耐えている
頼みあるから  ベル鳴らし
 頼みないのに  呼ぶものか

『二』
せんたく中と  グチルけど
そんなの俺が  知るものか
 わからぬ者に  言ってなく
 そこの事情を  つかめるか
願いたいから  ベルなので
願いないのに  呼ぶものか

『三』
あげもの中と  セメルけど
そんなの俺が  知るものか
 そうする前に  言っておけ
 知れば何とか  こらえてる
用事あるから  ベルなのに
用事ないのに  呼ぶものか


『一』
次から次へと
愚痴と文句を  聞くけれど
 何も云えずに  聞いている
不満抱くより  吐くほうが
良いか悪いか  わからねど
 聞き役だけは  つらすぎる

『二』
後から後から
愚痴と文句の  バーゲンに
 耳にたこだと  聞いている
人の振り見て  が振りを
治せないかい  を張らず
 聞き役だけど  云いたいね

『三』
一から十まで
愚痴と文句の  パレードを
 嫌と云えずに  聞いている
人が良くても  良いものさ
プラス思考で  触れ合えよ
 聞き役だけの  つぶやきだ


ましな呼び名はないのかな

こんな時代になったのだ


『一』
ぶさい君とか  呼ぶけれど
 ましな呼名は  ないのかな
それは確かに  そうだけど
 死語の出番で  好きでない
顔を見ないで  暮らすから
 痛くも痒くも  ないけれど

『二』
ぶさい君かも  しらないが
 ましな呼名は  ないのかな
歯抜け爺じゃ  あるけれど
 死語の言葉で  ホッチッチ
顔が良くても  動かなきゃ
 得でも損でも  ないけれど

『三』
ぶさい君だし  ズバリだが
 ましな呼名は  ないのかな
捻りなさすぎ  見たままだ
 死語の言葉で  いやになるな
顔にこだわる  歳じゃなく
 恋とか愛とか  ないけれど


『一』
指を折り曲げ  パチンコと
 ツレに合図を  おくってた
こんな時代に  なったのだ
そんな時代に  こだわるな
 通じなくとも  変じゃない
 仕草もそうさ  変わるのさ

『二』
手首まわして  リモコンの
 出来る以前は  指示してた
こんな時代に  なったのだ
そんな記憶を  抱いている
 未練がましい  俺じゃない
 名残が癖が  出ていたか

『三』
指をスライド  スマホなら
 ガキも見事に  こなしてる
こんな時代に  なったのだ
そんな世間に  すがりつけ
 弱音吐いてる  時じゃない
 聞くは恥では  あるものか


主治医より一言

<<ペグこそ命>>

 患者さんに日常診察で常々“食べる意欲は生きる意欲”ですよと云っているのですが、“ペグは命のナース,ペグは命のナビ,ペグは命のみちしるべ”も介護の現場で是非使わせてもらいます(笑)。