飛田洋さん

なにくそ!俺はここにいる157

京都府 飛田洋さん(72歳)

飛田洋さんは、平成10年11月に脳梗塞を発症しました。

完全四肢麻痺、構音障害、嚥下障害を認め、入院中に胃ろう造設術、気管切開術が施行されました。平成12年6月に在宅へ移行され、かすかに動くようになった指先でパソコンを操り、創作活動を続けています。

毎日書きためたものは、月刊誌としてまとめられ、製本されています。

【雑文暴論】⇒熱中症

熱中症、熱中症と近年話題になる。特に最近テレビ三昧で
見聞きしない日はない。

昔から我が市は、盆地特有の暑さで、動かずとも汗の滲む
経験を積んで70年以上なるが、今の外の暑さは異常らしい

私の家族も朝っぱらから、出入りするたびに、クーラーを
入れろと強要、寝たきりが贅沢な悩みを抱いている。

せめて室温29度までと頑張るが、年寄りは鈍いと言われる
ので仕方なく、設定温度28でと譲歩して終日入れている。

本音は外気温と差をつけたく、ないからである。

体感する位置と、個体差のあることを忘れないで欲しい。

【俺流・文句と違う・ぶんくやで】

※ 梅雨明けて 暑さにそなえ スダレ待つ

※ この部屋は 蚊さえ嫌がり 吸いに来ぬ

※ はかなさで 蝉が名残りの すさまじさ

※ しずかなる デモが日本の 素晴らしさ

※ くりかえし 五文字言葉は すまないね

※ 手を打たず この蒸し暑さ 過ぎ去りぬ

※ 愚痴を聞き 苦笑している すかんたこ

※ さとられず 異常なしだと 素にもどる

※ 老いぼれて 今じゃ頑固な すねかじり

世情を見聞きし、知らぬが仏の幸せを、感じております。

今月も作品を送り、皆様のご健康をお祈り申し上げます。

平成27年9月1日(火曜日)

飛田 洋

≪生き疲れる≫

≪寝たきり爺≫

二行きめる
『一』
貴女にわびて  わび切れず
生き疲れたよ  伏せた身は
 これが運命で  あるならば
 これで終りに  して欲しい
夢のカケラも  見ないまま
 夜が明けては  ・・・・・

『二』
ベッドの主で  いるけれど
生き疲れたよ  伏せてては
 不便不自由で  ここに来て
 息をしている  価値もない
食べる楽しみ  持てるなら
 そこは何とか  ・・・・・

『三』
時間つぶしは  なれてるが
生き疲れたよ  伏せた身で
 ことば遊びの  パソコンも
 今はどうやら  飽きて来た
未練まじりの  たらレバで
 朝が来るまで  ・・・・・

二行きめる
『一』
俺はご存知   寝たきり爺
天下ご免の   寝たきり爺
頼みの綱が   ペグなのさ
 十と五年の   付き合いで
 腹の底から   ありがとう
  説明不足は   悪しからず

『二』
気楽暢気な   寝たきり爺
やる気満々   寝たきり爺
意慾の元が   ペグなのさ
 病抜けした   そのあとの
 青い顔など   ありえない
  説明不足は   悪しからず

『三』
元気陽気な   寝たきり爺
独り遊びの   寝たきり爺
毎度毎度が   ペグなのさ
下手に献立   なやむより
 軽く息子も   手が出せる
  説明不足は   悪しからず


≪暑いあついとアホかいな≫

≪気楽に寝ててすまないね≫

二行きめる
『一』
暑いあついと  アホかいな
 言えば何とか  なるのかな
幾ら寝てても  それぐらい
感じられない  はずがない
 一人パソコン  してるのに
 寝てる子供を  起こすなよ

『二』
暑いあついと  アホかいな
 俺のせいだと  責めるかね
楽に寝ている  そのかわり
外をまわらせ  すまないね
 云える立場で  ないけれど
 できる我慢は  するものだ

『三』
暑いあついと  アホかいな
 言えば涼しく  なるのかね
余計寝てても  きづかされ
意識しないで  おられない
 空気読めぬと  あきらめて
 できる我慢の  子になれよ

二行きめる
『一』
暑いあついと  バテそうと
下手に来る人  いるけれど
 気楽に寝てて  すまないね
事のついでと  クーラーの
温度を下げて  くれるけど
 常にいる身に  冷え過ぎる

『二』
暑いあついと  焦げそうと
外はどうだと  言うけれど
 気楽に寝てて  すまないね
遮熱していて  クーラーを
頼りにせずに  耐えられる
 下手な遠慮は  してないよ

『三』
暑いあついと  死にそうな
そんな暑さと  ご無沙汰だ
 気楽に寝てて  すまないね
過労過ぎてる  クーラーは
愚痴も文句も  こぼせずに
 何も知らせず  ストにでる


≪新世倫理じゃないけれど≫

≪夢を死ぬまで抱いていろ≫

二行きめる
『一』
新世しんせい倫理じゃ  ないけれど
 ものに立場が  あるものだ
 月が出るから  日がしずむ
俺がおれがの  世は終わり
 お役ごめんを  受け入れて
 下手に逆らう  こともない

『二』
新世倫理じゃ  ないけれど
 ものに順序が  あるように
 親がするから  子が真似る
鳶にタカなど  まれなよに
 背中追うのも  まれになり
 過度の期待は  つみつくり

『三』
新世倫理じゃ  ないけれど
 ものに節度が  ありまして
 釘は目立たぬ  ほうが良い
爪のつるから  ナスが出る
 馬鹿な夢見て  いるよりも
 足を地に付け  根を張らせ

二行きめる
『一』
どうせ見込の  ない身でも
 凹むばかりが  能じゃない
  夢を死ぬまで  抱いていろ
例えば青春  ふりかえり
 眠れぬ夜を  過ごすまま
  妄想なんかを  したりして

『二』
どうせ惨めな  この身でも
 息はしている  生きている
  夢を死ぬまで  抱いていろ
或いは仕事が  出来たなら
 工夫をさせて  みるのだと
  妄想なんかで  ひまつぶし

『三』
どうせ寝床に  いる身でも
 今があるだけ  もうけもの
  夢を死ぬまで  抱いていろ
手足動いて  くれたなら
 願いはいつも  自由だから
  妄想もどきも  良いものだ

主治医より一言

≪寝たきり爺≫

 あっと云う間の16年間でしたね。その間も色々な事がありましたが、ペグに関するトラブルはなかったですね。これからもペグ在宅栄養管理に末永く御付き合いお願いします。