飛田洋さん

なにくそ!俺はここにいる165

京都府 飛田洋さん(73歳)

飛田洋さんは、平成10年11月に脳梗塞を発症しました。

完全四肢麻痺、構音障害、嚥下障害を認め、入院中に胃ろう造設術、気管切開術が施行されました。平成12年6月に在宅へ移行され、かすかに動くようになった指先でパソコンを操り、創作活動を続けています。

毎日書きためたものは、月刊誌としてまとめられ、製本されています。

無責任者の【雑文暴論】⇒【汚れた心】


自宅療養になって15年以上、同じ【介護サービス】の世話
になっている。

始めから話せない親爺相手では息苦しいかと思い現役時代
録画した流行歌のビデオをBGMがわりに流していた。


何年かたちアナログ放送になり、息子が集めていた、私の
年代向きの歌謡曲CDを仕方なく、しばらく流していた。

【軍歌】【寮歌】大好き人間には最近の曲は興味ないから
聞く事もない。昭和30-50年代の歌謡曲中心である。


それでも両親が歌っていたとか、子どもの時に聞いたとか
懐かしがり話が盛り上ること、しばしばである。

けれども、自称平成生れや若い人が目立ちだしたので、5年
前から毎週録画して貰っていた【童謡】【唱歌】のDVDや
【叙情歌】【流行歌】の名歌、愛唱歌を長し出した時の事


【裸の大将】で見聞きしてたらしく、若いヘルパーさんが
【野に咲く花のように】の歌が流れ、歌詞のテロップが
出たら、こんな【告白】をしてくれ、みんなで【爆笑】!

それは【けなげな】心を知るのですを、【けがれた】心を
知るのです、と覚え記憶してたと話せば仲間が色々突込み
和気あいあいな【介護入浴】の日もあるのです。


好まぬニュース報道の画面が辛く、視力保護を兼ねラジオ
老人化しつつあります。ご健康をお祈り申し上げます。

平成28年5月1日(日曜日)

≪取越し苦労≫

≪自虐のうた≫

二行きめる
『一』
努力工夫の   時でなく
時代が違い   残念だ
 妥協する道   あやふやは
 俺が許さぬ   認めない
  取越し苦労は  したくない

『二』
恩と礼儀を   忘却し
流れだなんて  悲しいね
 ぶれぬ信念   本分で
 俺がなくせば  意味がない
  取越し苦労は  したくない

『三』
本音言わずの  時流にも
従えなんて   世も末だ
 胸に抱いた   憧れを
 俺が捨てたら  何もない
  取越し苦労は  したくない

二行きめる
『一』
後で後では   当然で
私は我が家の  居候
 故に異存は   ありません
冷や飯食いの  育ちでは
自慢出来ぬが  気にしない

 『二』
一寸待ってと  ナース等は
言を葉残して  次へ行く
 楽な患者を   してました
口にはせぬと  遊ばれて
酷い暮しで   ありました

『三』
抗議するより  諦めて
人間観察    始めてた
 金はないけど  ゆとりある
時間かけての  ひまつぶし
そして自虐で  明け暮れる


≪ものには順≫

≪不便不自由≫

二行きめる
『一』
ものには順番  ある筈で
 覚えて欲しい  近頃は
  やる事やらず  望み過ぎ
支度金とか   手付金
 値打ちわからず 払う馬鹿
  稼ぎ次第と   行かないか

『二』
ものには順番  掟だよ
 上手に頼み   縋るけど
  何かと済ませ  それからだ
腹が立とうが  立つまいが
 俺の眼鏡は   物差しは
  時代遅れが   売りなのさ

『三』
ものには順番  屁は出物
 求める前の   行いで
  採点されて   それからだ
虫が好こうが  好くまいが
 俺の希望は   願わくば
  時代音痴を   悪しからず

二行きめる
『一』
声を失くした  生活じゃ
 不便不自由は  あるけれど
 不足不満は   遠慮する
  後の祭りの   日を過ごし
  悔いて眠れぬ  悲しさよ
  今は落着き   取りもどす

『二』
何も全く    出来ぬ身は
 不便不自由で  いるけれど
 苦痛苦難と   落込まぬ
  今日も長閑に  明け暮れて
  息を潜めて   閉じ篭もり
  今の自分を   ふりかえる

『三』
老化進むが   早まり
 不便不自由は  あるけれど
 夢や希望は   縁がない
  下手に明日あしたを  追うならば
  辛さ惨めさ   味わうと
  欲は出さずに  あきらめる


≪残りさみしい歯なのです≫

≪お願いしますなんかくれ≫

二行きめる
『一』
残りさみしい  歯なのです
 使い古しの   歯ブラシを
 変えて下さい  頼みます
今日の今まで
今日の今まで  耐えてた
遠慮が常に   ありました

『二』
残りさみしい  歯抜けです
 先の別れた   歯ブラシは
 捨てて下さい  似合わない
歯槽膿漏は
歯槽膿漏は   驚いた
寝耳に水じゃ  ないですか

『三』
残りさみしい  歯なのです
 夢を与える  歯ブラシに
 替えて下さい  頼みます
僕は唾液が
僕は唾液が   多過ぎて
涎ばかりは   苦手です

二行きめる
『一』
無視をする人  いるけれど
生きてる限り  腹が立つ
 今の無礼ぶれいを   許すから
 お願いだから  なんかくれ
困った事に
腹が鳴ります  ペグなのに

『二』
何も出来ずに  いるけれど
食欲だけは   衰えぬ
 こんな現状   理解なら
 お願いします  なんかくれ
弱った事に
腹が鳴る鳴る  はしたなく

『三』
神の意地悪   悪戯か
割りと粗食で  いてたのに
 今の嘆きが   届いたら
 お願いだから  なんかくれ
参った事に
腹が鳴ります  ペグなのに


主治医より一言

無責任者の【雑文暴論】

和やかな介護風景が思い浮かびます。介護サービスが完全に生活の一部となって時が流れてるんだなと思います。