飛田洋さん

なにくそ!俺はここにいる173

京都府 飛田洋さん(74歳)

飛田洋さんは、平成10年11月に脳梗塞を発症しました。

完全四肢麻痺、構音障害、嚥下障害を認め、入院中に胃ろう造設術、気管切開術が施行されました。平成12年6月に在宅へ移行され、かすかに動くようになった指先でパソコンを操り、創作活動を続けています。

毎日書きためたものは、月刊誌としてまとめられ、製本されています。

ハンサ・無責任の《個人の観相と韓ドラ》


 あの日あの時、軽い気持で救急車に乗り込んだのは記憶しているが後は覚えてぬ。

色んな出来事、奇想天外な夢尽しで、意識が戻ると病室のベッドに寝かされていた。

目玉と声の出せない口だけを動かす奇妙な生ける死に損ないが横になっていた。

自殺する能力のないのを知ると諦めは早く、いかに面倒をかけぬかを課題にしてた。

 

 自宅療養になり、家族と五十音表で意思疎通が出来始めTV選局もし出した。

韓ドラを見出したのは不明だが、長期に渡り選局せずに済むので視聴していた。

字幕の周囲に出る説明テロップから作詞のヒント、アイデアを引用捜し、始めた。

何年も、見続けていたら、韓国と中国、日本との歴史的背景も掴めてきている。

韓国の風土、風習、国民性をペグの交換中も追求してるから交換後主治医から
《それだけ韓ドラ見ていたら、韓国語ぺらぺらですか》と聞かれ言葉に窮した。

そう言えば私の世話の時だけTVを、チラ見している、忙しい筈の女房から、
《この俳優、あのドラマの、あの役の人でしょ?》と、新番組では必ず質問攻め。

男はストーリ、字幕読むのに忙しい、女は観相ならぬ、人相、服装を担当すれば!

ハンサ・無責任者の《新・ぶん句》


・ メーデーのデモ行進と遭遇し まだ冬服のボタンを外す


・ 悪たれと権太の虚勢固唾呑む 知る人ぞ知る世界困惑


・ 蚊や虫や進入禁止持ち込むな それが気配り 云わば常識


・ 字幕読む韓ドラ見てて 語学力 つくと思える想像楽し


・ 介護する妻を想えば長命は 願いに非ず 嬉しくもなし


・ もがいても何も変らぬ世の中よ 古今東西人々嘆く


・ 五十肩 七十婆ァが誇らしげ 腕の上らぬ俺ァ寝たきり


・ 世界報 関わりにないが見聞きする 退屈しのぎ時間つぶしよ


・ キャン々と弱い犬程吠え捲る 喧嘩買うより相手になるな


・ 寝たきりは三流報道暇潰し 素人(?)解説 見てて楽しむ


・ 屁の匂い 香りも嗅げぬ後遺症 出物腫物失礼ごめん


・ 気配りで 不定愁訴の団体や 君麻呂ならば叫んでいたろ


・ 今の世は色々起きる有り過ぎる 岡目八目上から目線


・ 風呂入り監視TVで外を見る 露天風呂風 贅沢気分

≪二人の青春≫

≪なんとなく≫


『一』
一目見たさに  逢いたさに
行きつ迷いつ  戻り橋
 電話する手も  震えてた
 二人の青春   懐かしい
恋の躊躇い   途惑いの
あんな純情   あったのだ

『二』
二人仲良く   過したい
などと夢見た  幸せよ
 膝を抱えて   眠れぬ夜に
 二人の青春   懐かしい
月は明々    照らすのに
星は滲んで   見えていた

『三』
三度逢えたら  恋人と
自分勝手に   決めていた
 不器用ぶりと  生真面目な
 二人の青春   懐かしい
味気ない世の  色気なさ
俺は忍んで   耐えている


『一』
動けぬけれど  なんとなく
 何とはなしに  生きている
ヒバリ蛙に   負けるけど
歌えぬけれど  生きている
 余裕遊びは   乏しいが
 迎えが来ずで  仕方ない

『二』
歩けぬけれど  なんとなく
 悪いけれども  ここにいる
カラス雀の   働きも
会話もないが  ここにいる
 俺の明日あしたに   光など
 当らぬけれど  罰でない

『三』
話せぬけれど  なんとなく
 辛いけれども  生かされる
インコ鸚鵡の  華やかさ
奪われたまま  生かされる
 丸くに成ろと  角取ろと
 迎えが未だで  恥じゃわい


≪夢中でパソコン遊びです≫

≪着た切り爺の閉じ篭もり≫


『一』
下手な作詞で  引き篭もり
苦しまぎれの  文字羅列
 夢中でパソコン 遊びです
何だかんだと  言われるが
素人目には   意味不明
 プロは奥読む  理解する

『二』
下手な作詞と  明け暮れて
思い浮べて   書き綴り
 夢中でパソコン 遊びです
何だかんだは  ネタさがし
触れ合う人は  餌食でも
 被害届は    ご勘弁

『三』
下手な作詞で  引き篭もり
時間潰しで   暇潰し
 夢中でパソコン 遊びです
記憶頼みの   所業だが
家族のいらぬ  世話減らし
 一人しずかな  老後です


『一』
思う存分    生きたいが
ベッドのぬしにて 変わりなし
 食べたい物が  食べられず
 着飾る事も   夢の夢
  早く申せば   着た切り爺
  未だ死ねずに  生きている

『二』
心まかせに   生きたいが
退屈しのぎで  大弱り
 空腸好きに   惑わされ
 室温管理    悩むのさ
  話せないうえ  着た切り爺
  何を考え    迷うのか

『三』
命の限りに   生きたいが
ベッドの主にて 閉じ篭もり
 睡眠不足で   眠れずに
 久しく夢と   無関係
  伝えられない  着た切り爺
  だけど何とか  過ごしてる


主治医より一言

ハンサ・無責任者の≪個人の観相と韓ドラ≫

 今、ゴルフで石川選手がコマーシャルしているスピードラーニングを十数年前から韓国語で実践されていたのと同じですね。医学の進歩により、再び発語が出来るようになられた時に、最初の言葉は、日本語か韓国語か楽しみにしていますね。