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なにくそ!俺はここにいる51
                         京都府 飛田洋さん(63歳)


本を忘れず
(『赤いランプの終列車』の替え歌もどき)

昨日と違う
(『おまえに惚れた』の替え歌もどき)

『一』

母が話した     言葉の一つ

本を忘れず     末を乱さず

泣けるなあ     泣けるなあ

六十余年の     人生生きて

俺は守れて     来たろうか

『二』

親が教えた     家訓の一つ

困り者でも     兄貴は兄貴

そうだなあ     そうだなあ

歳は上だし     絶対勝てぬ

俺は守れて     来たろうか

『三』

父に誓った     注意の一つ

丸く渡って     争い避ける

だからなあ     だからなあ

優柔不断の     烙印押され

俺は守れて     来たろうか

『一』

遠い東京へ     行くのかと

声の限りに     さけんでた

違う違うよ      昨日と違う

君に比べて     夢など夢さ

二人別れの     昨日と違う

『二』

俺が誘った      あの日から

何も貴女は      変わらない

違う違うよ       昨日と違う

君は素直で      優しい顔で

描く明日は      昨日と違う

『三』

俺の願った      しあわせな

夢と大事さ      変わらない

違う違うよ       昨日と違う

君と五年も      嘆きの淵で

迷い悩んだ      昨日と違う

本音記すぞ
(『一本刀土俵入り』の替え歌もどき)

まあいいか
(『無法松の一生』の替え歌もどき)

『一』

本音記すぞ      本心言うぞ

俺の葬儀は      葬式いらぬ

偽善打算の      参列よりは

どうぞ散骨

どうぞ散骨       しておくれ

『ニ』

お役ご免の      体であるが

死ねば献体      進んで希望

耳は自慢で      確かな視力

望むお方は

望むお方は      いぬものか

『三』

五臓六腑を      提供したい

自署捺印は      出来ぬけど

無駄な延命      労力いらぬ

今は元気で

今は元気で      書いておく

 

『一』

星のめぐりは     数々あるが

俺に良いとは     言えなんだ

喧嘩買わずに     問題背負い

丸く来たのが     気になるが

これも運命か     まあいいか

『二』

人の生きかた     色々あるが

俺に合うのが     こうだった

価値と評価は     立場で勝手

文句たらたら     言わせたが

世間知らずは     まあいいか

『三』

策士ゴネすけ     様々いたが

俺にとっては     いいがかり

損を引き受け     生きたけど

得をしたのが     いたはずさ

これが運命さ     まあいいか

不運だった
(『裏町ギター』の替え歌もどき)

頼れるもの
(『誰か故郷を想わざる』の替え歌もどき)

『一』

不運だったの     答でいいさ

不服言っても     きりがない

運命って星は

運命って星は     変えられぬ

帰らぬ事など     振り向くな

『ニ』

不運だったが     昨日は昨日

明日に向って     生きて行け

仕事は捨てろ     

仕事は捨てろ     これからは

現実みすえて     のんびりと

『三』

不運だったが     命はあるぞ

不満言ったら     きりがない

感謝で行こう

感謝で行こう

少ない残りの     日のために


『一』

頼れるものは     アンタだけ

悲しいけれど     世話かける

泣いて戻れぬ     暮らしだが

運命なのさと     後悔しても

ああ俺は人生     捨ててない

 

『ニ』

頼れるものが     アンタなら

空しいけれど     よろこびさ

動けないから     怪我しない

悪い風邪とも     遭遇しない

ああ俺は人生     捨ててない

 

『三』

頼れるものは     アンタだけ

選んでおいて     しあわせさ

外に出ぬなら     事故はない

声にせぬから     騒動はない

ああ俺は人生     捨ててない


主治医より一言

 今の世の中、本当の意味での頼れる人(友人)がいない人が多いような気がします。だから若い人も含めて自殺者増えてきているのでしょうね。残念です。