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なにくそ!俺はここにいる74

京都府 飛田洋さん(65歳)

損得言わず

他人が身内


『一』
首を振れずに 曖昧模糊で
首を突っ込む 性質だった
恩としがらみ 両方背負い
貧乏クジだと 軽口かわし
損得言わずに 過ごしてた

『二』
親の世話なら 当然したよ
親と子だもの 聞くは野暮
何故か夢には 現れなくて
顔もわすれる 最近だけど
損得言わずに 暮らしてた

『三』
今は寝たきり 悲しい限り
今はどうにか あきらめた
痛まないから 心配かけぬ
ひとり遊びで 迷惑かけぬ
損得言わずに 生きている


『一』
嫁を貰うと   言うことは
娘がひとり   ふえたこと
 嫁は他人と   言う気なら
 嫁を迎える   値打ちなし
  他人が身内   他人が身内
  そこの所を   よろしくネ

『二』
契り交した   その夜から
喜怒哀楽と   みちずれサ
 妻は他人で   あるものか
 共に白髪に   逝く日まで
  他人が身内   他人が身内
  そこの所を   よろしくネ

『三』
俺がお前に   のぞむこと
俺もお前に   おあいこで
 赤の他人で   あるものか
 同志同士で   ないのかな
  他人が身内   他人が身内
  そこの所を   よろしくネ


先手が大事

お陰様です


『一』
今日も一日 元気に励め
声も明るく おはようと
そこで心が お互い通う
先手が大事 さあやろう
『二』
昼の日中も 姿を見れば
笑顔浮べて こんにちは
人と人なら 簡単だけど
先手が大事 さりげなく

『三』
家の外から 帰った時は
機嫌報せて ただいまと
それで心配 取越し苦労
先手が大事 なにげなく
『四』
今日の一日 感謝を交え
祈る気持で おやすみと
そんな風習 文化を守れ
先手が大事 さあやろう

『一』
声と言葉は なくしたけれど
俺は元気に 過ごしているよ
お陰様です お世話を受けて
ベッド生活 知らぬ間だった
 『二』
 過去や昔は むなしいものよ
 資格譲った 手は引っ込めた
 お陰様です きままに過ごし
 人生大事な ゆとりを知った

『三』
笑い上戸は 変わらぬけれど
目玉洗うと 泣く日もあるさ
お陰様です 予期せず消えて
申し訳ない 無理しただろう
  『四』
 運だ運命と  あきらめながら
 奇跡祈って  もしやで更ける
 お陰様です  ゼリーにプリン
 三度三度は  ペグから食べて


九千越えて

泣いた涙で


『一』
野暮な詞に
理屈文句を   こじつけて
 寝たきりは
 刺激無縁で   明け暮れる
  さりげなく
  九千越えて   大台まぢか

『二』
この世での
事件悲劇に   ケセラセラ
 寝たきりに
 機会無縁と   あまたある
  それとなく
  九千越えて   衰え知らず

『三』
好きだとか
恋だ愛だに   柄じゃない
 死語となる
 苦労我慢の   繰りかえし
  なにげなく
  九千越えて   大台目指す


『一』
泣いた涙で   未来を探せ
 苦労自分で   買って出て
 汗を流そう   出来るなら
若い時間は   二度とない
若い時間は   かえらない

『二』
泣いた涙で   希望を招け
  一歩一歩が   はじまりで
  汗を励みに   張り切ろう
一が始めで   二と行こう
一が始めで   基礎の基だ

『三』
泣いた涙で   明日に期待
 楽な稼ぎは   身につかぬ
 汗を流そう   いつの日も
君は蟻かな   コオロギか
君は蟻かな   キリギリス


主治医より一言

<<お陰様です>>

 第1の口からは好物のプリンを、第2の口からは必要な栄養分を と、飛田さんはうまく使い分けておられますね。ところで、青汁は第2の口からのようですが、やはり不味いですか(笑)