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なにくそ!俺はここにいる78

京都府 飛田洋さん(65歳)

黙殺するか

遥かなる日


『一』
ひとの弱みに  つけ込んで
自分の気持を  ぶつけすぎ
 文句言わずに  さりげなく
 文句言わずに  黙殺するか
怒りたいのも  わかるから
我慢ついでに  黙殺するか

『二』
すこし強気に  見えるけど
疲れる気持も  良くわかる
 不平言わずに  なにげなく
 不平言わずに  黙殺するか
疲れたまった  ストレスの
捨場やり場と  黙殺するか

『三』
二十過ぎから  付き合って
気心しれてる  せいだろう
  文句言わずに  なんとなく
  文句言わずに  黙殺するか
苦労を残した  つぐないに
ここは試練と  黙殺するか


『一』
今は寝たまま  よだれくり
昔ァこれでも  もてたのさ
 恋の売り込み  切れ目なく
 愛の切り売り  避けていた
丸くなったな
遥かなる日々  さようなら

『二』
今は言うまま  されるまま
昔ァへんこな  へそまがり
 嫌と決めたら  意地になり
 首をたてには  ふらなんだ
角が取れたな
遥かなる日々  さようなら

『三』
今はだんまり  決め込むが
昔ァユーモア  あふれてた
 口でしくじる  ことがあり
 誤解まねいた  こともある
何がしあわせ
遥かなる日々  さようなら

未来づくり

万物我が師


『一』
エコに省エネ  イベントの
エライ時代に  出くわした
 未来づくりと  言われても
 何が出来るか  わからない
思いつくのは  アレとアレ
次に浮かぶは  アレぐらい

 『二』
電話メールが  つきまとう
エライ時代に  出くわした
 未来づくりと  言われても
 自分づくりも  のぞめない
今度会うのは  コレとコレ
コンパ通いで  コレも無理

『三』
治山や治水の  ボランテア
エライ時代に  出くわした
  未来づくりと  言うけれど
  自然づくりを  はじめたい
ゴミを集める  ソレとソレ
捨てて帰らぬ  ソレぐらい

『一』
口は出さぬが  金は出す
それで偉ぶる  人でない
 誰に会っても  微笑みを
 配るゆとりに  余裕みた
今は亡きひと
わが師と私淑  今になる

 『二』
ハイの返事で  腰上げて
嫌な素振りと  縁がない
 損と言う文字  得と読み
 プラス思考で  世間した
今は亡きひと
わが師と仰ぎ  今になる

『三』
他人の意見を  聞き流し
同じこころと  合の手を
 打算まじりの  偽善家は
 学ぶ気もなく  恥知らぬ
今ものさばり
わが師と真逆  今になる


流れのままに生かされて

恋のうたなど書かれない


『一』
流れのままに  生かされて
恥をさらして  生きている
 人によるけど  プライドは
 守り抜きたい  ものなのさ
TVパソコン  それだけで
生きる値打が  何処にある

『二』
流れのままに  生かされて
恥をしのんで  生きている
 会えぬ人でも  会いたくて
 せめて顔なり  みたいけど
声の出せない  じれったさ
真意つたわる  ことだろか

『三』
流れのままに  生かされて
恥をあじわい  生きている
 食べる希望は  あるけれど
 食べた想いで  過ごすのさ
ペグに味つき  そのうちに
香りつく日が  来るまでは

『一』
古木みたいに  根を張って
寝たきり生活  するだけで
 携帯デンワも  知らないし
 今のニーズが  わからない
こんな事では
恋のうたなど  書かれない

『二』
真紀子元気に  してるかな
育代は後妻に  いったやら
 瞳は子連れで  どうしてる
 バーの雰囲気  ご無沙汰で
こんな事では
恋のうたなど  書かれない

『三』
刺激なさすぎ  この部屋は
一人の時間が  おおすぎる
 暑さも寒さも  知らないし
 風も吹かない  日もささぬ
こんな事では
恋のうたなど  書かれない

主治医より一言

<<遥かなる日>>

歌を読んでいたら、遥かなる日の飛田さんの姿が滲み出ていますよ。

今年も宜しくお願いします。

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