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なにくそ!俺はここにいる82

京都府 飛田洋さん(66歳)

退屈しのぎ

我慢の功罪


『一』
詞を書いて   いるけれど
寝たきりの
退屈しのぎ   ひまつぶし
 死語ならべ   つらねても
 意味読めず   意味知らず
 むなしやの   くやしやの

『二』
パソコンは   名ばかりで
閉ざされた
退屈しのぎ   憂さ晴らし
 ふりかえり   くりかえし
 こぼしたり   ぼやいたり
 むなしやの   くやしやの

『三』
フイルムに   しるされた
過去あばき
退屈しのぎ   ひまつぶす
 とらわれず   こだわらず
 いましめて   ひきしめて
 むなしやの   くやしやの


『一』
思いがけなく  予期しなく
世にも惨めを  さらけだす
 やる気未来と  無理してた
 それの結果が  これですと
教わったかな  我慢の功罪

『二』
思い起こせば  そのむかし
初のバイトで  言われたな
 やけに張切る  しろうとに
 親が死んでも  やすみとれ
教わってたな  我慢の功罪

『三』
思いついたら  とことんの
クセが裏目を  呼んでたな
 調子乗らずに  ゆとり持ち
 あそぶ余裕が  欲しかった
今でわかった  我慢の功罪

いりたまご

お前のこと


『一』
亡き母さんの  得意の品は
流石に手早い  いりたまご
 気分悪けりゃ  焦げてたり
 機嫌良ければ  増えてたり
母さん懐かし  いりたまご

『二』
亡き母さんは  毎日手抜き
弁当ケースも  いりたまご
 腹がすいたと  ねだってる
 何かないかと  急かしてる
子どもが六人  無理もない

『三』
亡き母さんの  自信の一つ
何かあったら  いりたまご
 花見しながら  むさぼった
 花火見上げて  つまんでた
母さん懐かし  いりたまご

 『一』
 お前のことは
空気みたいと  言うけれど
俺に欠かせぬ  サポーター
 普段かまわず  いるけれど
 何かあるたび  気にしてた

 『二』
 お前のことは
自慢なんだよ  ほこりだよ
俺とみんなの  ナビゲータ
 仕事ばかりで  いれるのも
 常にアシスト  あるからさ

 『三』
 お前のことは
母にあまえる  子にさせる
俺に得がたい  パートナー
 着かず離れず  越えて来た
 暮しまだまだ まだつづく


靴を履くまでわからない

前向きだけど逃げたいね


『一』
鬼のクビでも  取れたのか
鼻がずいぶん  伸びている
 一時しのぎで  あるまいか
 田舎しばいの  シナリオで
幕が開いたら  閉まるまで
靴を履くまで  わからない

『二』
家のちかくだ  なれてても
油断するなよ  事故は待つ
 今日は昨日と  ちがうのだ
 同じシーンは  ありえない
鍵を抜くまで  気を抜くな
靴を脱ぐまで  わからない

『三』
五点リードで  よろこぶな
九回ドラマが  待っている
 風が変われば  そのうちに
 流れ変わるぞ  あわてるな
勝負つくまで  気を抜くな
靴を履くまで  わからない


『一』
看護と介護の  毎日見れば
悲しくないが  泣けて来る
 見込あるなら  意味あるが
 期待出来ない  明け暮れで
申しわけなく  すまなくて
前向きだけど  逃げたいね

『二』
家業と介護の  姿を見れば
痛みはないが  泣けて来る
 若くあるなら  意味あるが
 夢の持てない  明け暮れで
申しわけなく  すまなくて
前向きだけど  消えたいね

『三』
家族と介護の  限界見れば
迷いはせぬが  泣けて来る
 役目果たせば  意味あるが
 何も出来ない  明け暮れで
申しわけなく  すまなくて
前向きだけど  逝きたいね

主治医より一言

<<いりたまご>>

 小生も母を早くに亡くしているのですが、母の得意の料理(手抜き料理?)のタマゴゴハン(ゴマとタマゴの炒飯)が大好きで、今でも良く作っています。簡単に作れて栄養価もあり、子供も大好きです。今でも母の存在が大です。