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「胃ろうは一生使うもの…??大きな誤算!」2

  胃ろう再手術の日はホリドンの変わりにロピプノールを使う。
内視鏡手術は「寝てる間に終るよ」と外科医は言って、手術の用意をしている。1時間半待って、やっと先生が着いたと連絡があり、先生が手術の用意をしてる間に胃カメラを挿入しておくのに、口が開かないから歯磨きの時に使う開口器で口を開けてカメラを挿入する。いよいよ手術に先生が来て言った「二回目か、こんな患者は初めてや」すぐにロピプノールを流すが眠気もこない。
胃ろうを作る所に「麻酔をしますよ」と言って、チクリチクリと二個所に麻酔をうつなり、胃ろうの穴をあける五寸釘のような器具でつかれると痛過ぎるから麻酔が効いてないと、点滴に目をやり、痛いと付添の妻に顔をしかめて訴える。妻が大声で〔麻酔が効いてない〕と言うが手術は続行する、先生は体重をかけてグット押すとプスッという感じで器具が入る。その時、麻酔が効いてないから、今まで味わった事がない痛さだった。「もう少し痛みが長かったら失神していただろう!」まえの胃ろうを縫い直して約40分の手術だった。
手術が終ると眠くなり、気がつくと病室へ帰っていた。痛みがあったから、痛み止めを注射してもらうと、また眠ってしまう。どうして麻酔が効くのが悪いのだろう!

  私が病院で内視鏡胃ろう手術第一号で無事に終り、あくる日から外科医がブスブスと内視鏡胃ろう手術をしています。外科医が病室へ来て"お陰様"でうまくできるようになりましたと、お礼を言いに来てくれました。その時は役に立てたと嬉しくなりました。
私もまえの胃ろうがふさがれば、退院するのも後少しと元気が出てきました。ところが、
まえの胃ろうがふさがらなく、縫い直しても縫い直しても、経管栄養を注入し始めると漏れてくる。もう6回も縫い直した。外科医も頭をかかえて「今まで何人も胃ろうを閉じたけど、貴方のようなのは初めてだ」と困った様子でした。

  7回目に胃ろうの上下で3センチほど切開をして、悪い所を切り取り縫い合わせました。その時に麻酔は普通の人より倍位してもらう、手術中にも痛くなると麻酔を追加してもらいました。今度は胃袋と皮膚で二層縫いをしていますから大丈夫と言ってくれました。確かに丁寧に細かく縫い合わせてくれている。今までと違っていい感じだよと先生が言いました。
緊張がきついから傷口が開かないよう腹帯を締めると、呼吸が苦しく我慢できないからゆるめてもらう。あまり効果が無いから、今度は部分的にテープで引っ張る。この方が我慢できる。
これで治って家に帰れるか?私は半信半疑でした。約一ヶ月経つから「もう注入食を入
れてもいいやろ」と先生が言った。エンシュアリキッドを薄めて100ml から注入したと思います。まだ傷の糸を抜いていない、不安をかかえながら注入食を注入したが二日目にやっぱり漏れた。先生もショック、私は大ショックで涙をポロポロ流しながら「もう家に帰れない」と泣きました。早く点滴(IVH)を外したい、もう退院できないと諦めかけていた。どうなってもいいわとふてくされていました。

  三ヶ月余り点滴(IVH)だけでいると、いろいろと障害が出てきます。発熱はもちろん、尿に緑膿菌と院内感染(MRSA)にも血液検査で1回引っ掛かった。点滴で40度を越える熱が出て、亡くなった母の幻覚を見ました。「まだ来たらあかんと手を横に振っていた」さすがに40度を越える熱にはまいった、体がぐったり、精神的にもダメージが大きかった。