≪高齢者の口腔の特徴≫
高齢者の方は、次のような特徴が見られます
口腔粘膜が萎縮している
唾液の分泌機能が低下している
顎の骨や関節の形が変形したりして十分な機能ができない
体力の低下により常在菌(カンジダ)などに感染しやすい
舌や顎、唇の動きが神経的な作用の衰えにより、不自然になりやすい
残っている歯の本数や歯周病、歯根虫歯が多く不潔になりやすい入れ歯による弊害がみられる(たとえば感覚がにぶい、唾液が出にくいなど)
嚥下障害がある場合、誤嚥性肺炎をおこしやすい

  それでは実際に要介護になられた方のお口の中を拝見してみましょう。
  寝たきりになる前は、十分な歯科の治療を受けられた方ですが、ご自身の運動機能の低下によって
、口腔清掃が出来なくなってしまい、お口の中は写真1のように歯垢が残り不潔になっています。
  日常介護にあたられたお嬢様とヘルパーさんが、要介護者の口臭に悩んでいて検査と治療の依頼を頂きました。

  顕微鏡写真(写真2)では、歯周病の歯周ポケットでよく観察されるスピロヘータ(螺旋菌)がみられます。
  ハリーメーターを枕もとに持ち込み測定すると、300ppbを超える値を示しました。
  週1回~2回、歯科衛生士のプロフェショナルクリーニングを3週間おこなうと、清掃前は、ハリーメーターの値は常に300ppb以上を示していましたが、施行の細菌も線状の菌・螺旋菌も消失しました(写真3、4)。
  3週間後、ヘルパーさんもお嬢様もクリーニングが上手になり、臭いのレベルは確実に下がり、介護の時の臭いも気にならなくなりました(写真5)。

写真1
写真2
写真3
写真4
写真5

次のページへ
(2/5)