≪アジスロマイシンの働きと喫煙≫

  アジスロマイシンは、マクロライド系の元々広い範囲の細菌に効果の.あるものを改良して作られたもので、効き目の特徴は聞きなれない言葉であると思いますが『ファゴサイトデリバリー』と呼ばれています。
  これは、白血球の中の好中球に取りこまれ、それによって病巣まで運ばれていくという意味です。
  好中球は、人間の体に異物(敵)が浸入するとまず最初に攻撃をしかける、いわば最前線の兵士です。
  この薬は、この兵士に取りこまれ兵士が攻撃を仕掛けたときに、敵に向けて放出されるのです。
  顕微鏡で唾液や歯垢を観察すると多数の好中球が見られます。ですからこの薬はお口の細菌にとても効果があるわけです。

  しかしここで1つ注意しなくてはいけないことがあります。
  それは喫煙です。歯茎の微細な血管は直径5ミクロン以下と言われていますが、赤血球の直径は7~8ミクロンです。
  それらは細い血管をよじれるようにして通過していきます。

  好中球はそれよりも大きく喫煙による血管の収縮が起こるとスムーズに通れなくなってしまい病巣へ到達できなくなることが考えられます。
  ですからこの効果的な薬も、ヘビースモーカーには効かないことがあります。
  喫煙は以前より歯周病や心臓血管障害のリスクファクターとされていました。
  あらためてこの機会に禁煙を考えましょう。

  歯と歯茎の境目にあるほんの微量の歯垢を採取して観察するだけで、お口や歯周病に対する考え方を新たにする方も少なくありません。
  ぜひ皆さんも1度体験されることをお薦めします。とは言ってもなかなか働き盛りの男性などは歯医者の所へいきたがりません。

  ここはひとつ奥さまが経験して、ご主人を説得することが大切です。
  最初は奥さまに無理やり連れてこられたご主人が自分のお口の細菌を見てその後、奥さまよりまじめにまた丁寧に歯磨きをするようになられた方が大勢いらっしゃいます。
  なかにはあれほど好きだったタバコをやめてしまった方もいるんですよ!


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