胃ろうカテーテル交換における保険適用について(平成20年改定分)
※改定されました。平成22年改定分はこちらをご参照ください。
胃ろうは造設および交換において、医療保険の適用となります。
現在は、ボタン型・非ボタン型にかかわらず、胃内側の形状で、バンパー型は体内留置後4ヶ月以上経過、バルーン型は体内留置後24時間以上経過で保険適用という分類になっています。2006年改定以前の記事はこちらにあります。
平成20年4月1日改定 | |||
処置 |
該当製品 |
手技料 |
特定保険医療材料費 |
経皮内視鏡的 |
胃瘻造設術用 |
9,460点 |
請求不可 |
胃瘻カテーテル |
交換用 |
200点 |
バンパー型: |
医科-処置-8/18 J043-4 胃瘻カテーテル交換法 200点
注 J000創傷処置、K000創傷処理の費用は所定点数に含まれる。胃瘻カテーテル交換法は、十分に安全管理に留意し、胃瘻カテーテル交換後の確認を画像診断等を用いて行った場合に限り算定する。なお、その際行われる画像診断等の費用は、当該点数の算定日に限り、1回に限り算定する。
編集部注:「画像診断等とは、単純撮影、内視鏡などが該当する」
(全国保険医団体連合会(保団連)発行「新点数運用 レセプトの記載 2008年4月1日実施」
臨時増刊号N0.972 82ページ)
かねてより医療現場からの要望が上がっていた、胃瘻カテーテル交換の手技料200点がこのたびの診療報酬改定で新設されました。この新設により、従来、手技料がないが故に交換用胃瘻カテーテルの材料費すら保険請求できなかった、後期高齢者特定入院基本料、療養病棟入院基本料、有床診療所療養病床入院基本料を算定する患者に対しても、手技料の他に交換用胃瘻カテーテルの特定保険医療材料費を含めて算定できることになりました。さらに、介護老人保健施設の入所者に対して保険医療機関が胃瘻カテーテル交換法を行った場合も、同様に保険請求できるようになったことは、大変な福音です。
しかし、その算定には「胃瘻カテーテル交換後の確認を画像診断等を用いて行った場合に限り」という条件がついていいます。
確かに、手技料が診療報酬として認められていなかった今までも、交換時の誤挿入を防ぐためにこのような方法で確認を行っている先生方もいらっしゃいますが、在宅での交換を行っている場合は、患者・家族への負担が大きくなり大変厳しい条件といえます。
在宅でも行える医療だから「在宅医療」なのであり、交換という定期的に行うべき医療行為が毎回病院に搬送しなければならないとすれば、その負担や医療費が今まで以上かかることになります。
HEQ研究会保険適応委員長の小川滋彦先生も「在宅医療では、バルーン型交換用胃瘻カテーテルが用いられている場合が少なくなく、それらは往診医の手によって在宅で交換されております。しかも、一昨年よりバルーン型交換用胃瘻カテーテルは添付文書によると1ヶ月に1回交換することになっております。画像診断等がレントゲン造影検査や内視鏡に限定されますと、毎月患者を病院に搬送した上で交換処置を行う必要が出てまいります。
このことは、在宅医療の趣旨にそぐわないばかりか、患者家族の経済的心身的負担と医療費の点から決して現実的とはいえません。また、小児では腹壁が脆弱なため、バルーン型交換用胃瘻カテーテルを使わざるを得ず、もし交換のためにレントゲンや内視鏡を使用しなければならないのであれば、前者では毎月の被爆の問題、後者では全身麻酔下での内視鏡検査など、大変な問題を抱えてしまうことになります。」と本法の運用に関する要望をコメントしておられます。
交換後の胃内留置を確認することは重要ですが、「確認のための画像診断等」の文言は「確認のため」が強調される解釈となることを、強く要望したいと思います。
監修:金沢市 小川医院院長 小川滋彦先生