PDNセミナーの開催報告

-堺市PDNセミナー 第一回 食べるための胃ろうを目指して-

共催 大阪難病医療情報センター・NPO法人PDN
                    後援 堺市(8月1日から政令指定都市となる)

 拝啓 初夏に候 皆様にはおかれましてはますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
  今日から夏の甲子園高校野球大会が始りました。猛暑あり夕立あり雷ありと日本の夏が訪れたという実感が湧いて参りました。
  さて、内視鏡的胃ろう造設術(PEG)の日本への導入以来「胃ろう」は安心かつ確実な経腸栄養法として近年急速に普及してまいりました。PEGは内視鏡治療の一つでありますが、その対象となる疾患は多岐に渡ります。そこで胃ろう管理においては"診療科や施設を超えた情報交換"が必須となってきます。
  この度、胃ろう管理の正しい知識の普及とネットワーク作りの第1歩として胃ろう管理の勉強会を次の通り開催致しました。

敬具



★ 日 程  平成17年8月6日(土) 14:00~17:30

★ 会 場  堺市役所 B1 大会議室 南海高野線「堺東駅」下車3分 
★ 住 所  大阪府堺市南瓦町3番1号
★ 出席者  約80名(主に訪問看護師さんのようでした)

PDNセミナー講演スケジュール
14:00~司会 三浦クリニック  三浦 浩介 先生(大阪難病医療情報センター)
・自己紹介と挨拶がありました。
・ 経歴 近畿大学付属病院に勤務しておりましたが現在独立開業医をしております。
・ 大学病院→三浦クリニックにかけて、主に神経内科の難病の患者さんに力をいれた。
・ 過去の経験から当院では、難病患者さんを中心にPEGの患者さんを受け入れています。
・ 難病を中心とした在宅医療が主な対象者です。過去29名程の患者さんに造設しました。
14:10~開会の挨拶 米田内科 米田 円 先生(近畿大学医学部堺病院講師)
・経歴 近畿大学医学部堺病院→米田内科(独立)現在に至る。
14:15~1. 「PEGの手技と合併症」 米田内科院長 米田 円 先生
・ PDNセミナーの資料を使ってPEGの必要性をスライドでは、懇切丁寧に説明された。
・ 又、ビデオを(鈴木先生登場)使ってバンパー型・チュウブ型造設の手技が紹介された。
・ 近大病院時代にアンケートを集計結果「嫌がる患者の死亡率が高い(6%)」。報告あり。
・ PEG造設に嫌がる患者さんには結果が圧倒的の悪かったので造設はしない方がいい。
14:40~2. 「胃ろうの管理について」 三浦クリニック 看護師 高柳 彰子 先生
・ 経歴 近大医大→看護学校→近大病院→三浦クリニック(現在)。
・ 三浦浩介先生と共に、大阪難病医療情報センター業務も兼務されています。
・ 担当する患者さんが難病の方が多いのでコミニューケーションを取るのとても大切。
・ 即ち「精神的フォロー」を如何に風通しの良いものにするか切実な課題を持っている。
・ 最近、患者さんの訴えを口を動きで読み取れるようになりましたとの報告あり。
15:30~休 憩
15:40~3. 「いかに食べられるようにするか」 PDNスタッフ 平成の一休さん
・ 経歴紹介される。
・ 病を克服した仏教者の立場から困難を乗り越えたお話を披露しました。

「医療者側」に対してのお願い。
-インフォームドコンセントの励行「情報公開と自己決定」-
・ 手術前の予想しうる術後の乗り来なければない困難を事前に説明し本人に学習させる。
例えば、入院期間中何回位の色々な困難な局面があるかという情報を提供する。
・ 退院後に予想しうる術後障害がどのような症状があるのか情報を公開提供する。
・ 病院内では、入院期間中の連携をスムーズに行なう為チーム医療体制の確立を図ること。
・ 退院後では、地域の医療機関や福祉施設等と地域連携医療体制の確立を図ること。

「患者家族側」に対してのお願い。
-病の原因を作ったのは貴方(患者)です「自己責任と自己管理と自己決定」-
・ 仏教でいう「因縁」を引用して役割に適した人が事前に説明し反省と意欲を引き出す。
・ 因縁とは「原因と結果」のことを指します。「人は生まれ・成長し・成熟し・老衰し・消滅する」これが"因縁"です。即ち、病の原因は長い人生の生活習慣の中で培われたものが積もり重なった生活習慣が結果として顕在化することを伝え責任の一旦の自覚。
その責任は患者さん自身にあるのですということを患者さんに引導を渡す。
このことが「医療事故や医療ミス」等々で「裁判沙汰を和解へ回避する智恵」です。
・ 目的は、術前・術後のトラブルを情報公開し説明と同意を得て自己決定して頂く事です。
・ 「人間は過ちを犯しやすいものです」「人間は間違いを犯しやすいものです」。
・ 今後の医療は「栄養がキーワード」です。
・ PEGキットと栄養剤の更なる進化が大きな宿題です。
・ PEGキットはローテクと低い評価されても、効果はハイテクと誇りを持ちましょう。
・ PEGの終着点は…PEG交換を安全に自宅で自分で行なえるようにすることです。
15:50~4.「PEG造設後の栄養管理」 近畿大学医学部堺病院栄養部主任 西村 町子 先生
・ 近大堺病院で取り組んでいる最重要課題は次の通りです。
・ a:口から食べ物が食べられることを支援する体制を確立することです。
・ b:胃から食べ物を摂取しながら足りない栄養をPEGから摂取することです。
・ c:点滴用付属機器の衛生状態を厳守できるよう指導することです。
・ d:経腸栄養の利点は消化器系の臓器を働かせることに高い評価をしています。


「アメリカ:日本」の経腸栄養方法と中心静脈栄養方法の導入比較を紹介します。
アメリカ:経腸栄養導入率「8」に対して 日本:経腸栄養導入率「2」割合です。
最近では、日本も上記の割合が7:3位になっているようですとの報告がありました。
16:30~5.「質問受付」
・ 接続チューブの接続部分がメーカによって異なり合わないで困っている。
⇒メディコン様からの回答:「古いタイプはそうですが、新しいタイプはどのメーカにも対応接続チューブが出来て出回っているので万能接続チューブと言って注文すれば入手できます」とのご返事でした。

・ 今回の参加者からの質問は少なく、PEGに関係している人は3割位でした。
6.「ティッシュこより実演会」
最後にティッシュこよりの実演会を行い20数名の方が集合されて実演したら納得されました。どうしてもうまく作れなかったけど成る程と成果を上げることが出来ました。
17:30 終了
・ 平成17年8月6日                        
・ PEGドクターズネットワーク 西宮春雄(平成の一休さん)
合掌三拝